第242話
242話 思いの対立
あなたside
ジンにもバレてしまった今、
私を殺す理由が口封じなら、
ジンも狙われかねない。
それに、お母さんのことを
見てしまった海人も、
悟っている可能性がある。
そうだとすれば、
私、紫耀、ジンは確実に狙われる。
海人も、恐らくは…
恐らくこれは、長期戦になる。
お母さんがこの場に居ないことで、
きっとそれを表してるのだろう。
言わなきゃいけないとは、
ずっと思っていた。
でも、言う気も無くて…
何言ってんだw
って感じだけど、本当にそうなんだ。
言わなきゃいけないという思いと、
言ってはいけないという思いが、
ずっと対立していた。
言うタイミングが無かった訳じゃない。
おにぃから、犯人のことについて、
『知ってるんだろ?』
と、聞かれたこともあった。
それでも、やっぱり言えなくて…
そのうち、言うタイミングも、
無くなっていた。
でも、やっぱり、
“口封じ”
という言葉で、私は縛られている気がする。
口封じ……すなわち、
“死”だ。
だから…
やっぱり言えない……
私の思いの対立は、いつどんな時だって、
“言わない”
という思いが、勝っていたんだ。
限界が近いとき…
その時はきっと、
もう全員無事では済まないだろう…
なら、そこまでいかせないのが、
今の私がすること。