午前9時
私がいつものスタジオに入ると、
少し進んだ所で、
後ろから鼻と口を抑えられた。
それは、恐らくお母さんだ。
私は“気絶する”と思い、
何とか抵抗はしたものの、
それも虚しく、案の定気絶した。
次に私が目覚めると、
そこは知らない場所だった。
薄暗くて、少しジメッとしていて…
とにかく居心地の悪い場所。
尚、手足は紐で拘束されており、
その上イスに縛り付けられ、
口にはガムテープ…
逃げることは愚か、
手足を動かすこと、
喋ることも出来ない状況だった。
そんな中で私の感情は、
“あぁ、やらかした…”
その1つしかなかった。
それから、10分程経過したのだろうか…?
私の目の前に、お母さんが現れた。
そう自分に言い聞かせ、
過呼吸にならないよう、制御した。
こうなってしまったら、
もう逃げる気は無かった。
私1人では、逃げられない。
それは、もう確実だった。
後は助けを待つしかないが、
おにぃ達は、恐らく来ない。
もう、死ぬしかない。
でも……1人だけ…………
そして、お母さんは話し始めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。