信じてもらえない悔しさからか
女に騙されている苛立ちからなのか
もう何が何だか分からない感情になり
居間を出て、自室へと戻る。
もう何も考えたくない、
てか何も考えられない。
きっとさっきの事で
実弥さんからは距離を置かれるだろう。
私が言いに行ったところで
信じてくれないだろうから。
自室の縁側へと座り
空を眺める。
綺麗な星が満遍なくちらばっていて
今にも空から落ちてきそうで
、
頬にスーッと涙が伝い
止まることなく溢れ始めた。
どうして?
実弥さん。
信じてくれなかったの?
私よりあの子の方が良くなったの?
そう考えれば考えるほど
どんどん涙は溢れてきて
実弥さんを想えば想うほど
胸が苦しくなって
辛くなる。
それからどれくらいの時間が経っただろう
抜け殻のようにベタっと
縁側へと寝転がり
外を見つめる。
ちょうど私の部屋からは
稽古をしている場所が見える。
もし、
私が鬼殺隊の隊士ならば
もっと仲良くなれていたのだろうか。
もっと傍に居られたのだろうか。
そんなことばかりが浮かんできて……
泣いたからか
喉が乾き
とりあえず飲み物を飲みに行くことにした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!