それから
少しして
稽古の休憩時を見計らい
飲み物などを持っていく
すると
そういい
笑顔で女と話しながら竹刀をぶつけ合っていた
“ 実弥さん ”
もう下の名前呼びなんだ。
サッと目を逸らし
縁側へと飲み物を置く
そしてもう一度2人の方へ目を向けると
女が私がいることに気づき
そう実弥さんに親しく話す
そして
キャッキャッと二人で騒いでいる。
楽しそう。本当に。
私の存在が虚しく感じる。
そして
女は
暑いからか
隊服の上を脱ぎ
胸を覆っている布しかない状態となり
私をちらっと見て
私に見せつけるかのように
実弥さんの背中に抱きついていた。
なに、嬉しそうに笑ってんの?
実弥さん……
稽古、しにきたんじゃないの?
あんた。
本当に実弥さんだけの為に
稽古をつけたわけ……?
実弥さんを手に入れるために……?
そういい
実弥さんに見せる用の笑顔を私へと向ける。
虚しさで押しつぶされないよう
無理やり笑顔を作る。
実弥さんと女が
稽古をしているせいか
玄弥さんは別メニューをしているみたいで。
玄弥さんは
私の笑顔の裏に気づいている。
実弥さんは
笑顔の裏側には気づかない。
泣くな、私。
こんな女に負けるな。
この女より
2人のことを見てきたでしょ?
大丈夫。
取られたりしないから、
奪われたりしないから、
だから、泣きそうになんかなるな。自分。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。