裏口から中へ入ろうとすると
ちょうど屋敷から玄弥さんが出てきて
そう言われギュッと大きな体に包まれた。
ニコッと笑いかけると
困ったように笑う玄弥さん。
あえて気付かないふりを
してくれているのだろう。
こんなにも目を潤ませている私に
玄弥さんは
普段と変わらない対応をしてくれる。
すごく有難い。
それから
玄弥さんから離れ
屋敷の中へと戻る。
そして直ぐに夕飯の準備をする
ご飯が出来
机に並べていると
玄弥さんはもう座っていて
実弥さん、そして女の順で
居間へと入ってきた。
私の料理を一口食べて
そう実弥さんへと言う。
そんな会話を続けている2人。
玄弥さんは黙々とご飯を食べてくれていて
ふと実弥さんが私へと顔を向け
食欲が全然無いためか
何も食べたいと思わない。
鍋などを洗いながら気を落ち着かせる。
1番に玄弥さんが食べ終わり
食器を持ってきてくれて
そうポンポンと手を頭に置いてくれ
そのままお風呂へと向かった
それから
実弥さんも食べ終わり
食器を持ってきてくれた。
それから
実弥さんは用事があるのか
居間を出て
最悪なことにここはあの女と私で2人きりだ。
少し近くから
女の声がし
振り向くと
そう鼻で笑いながら
まだ食器に残っているおかずを
ボトボトっとゴミ箱へと落とした。
そう言われ
さすがに怒りがピークに達し
女が持っているお皿を
サッと取ると
手が滑り
そのままお皿が下へと落ちてしまい
ガシャーンと大きな音が響く
慌てて私が破片を拾おうとすると
いきなり女は自分の頬をひっぱたき
隊服を無理矢理広げ、ボタンが散らばる
そして髪をわしゃわしゃっとし
きゃー!!!!!!っと悲鳴をあげる
その一連の流れが素早すぎ
意味がわからず突っ立っていると
実弥さんが居間へと来て
そして実弥さんへと抱きつく女。
なに、それ……?
実弥さん、
その女の味方なの?
私がこの女をぶったと?
本当に思っているの?
私を信じてくれないんだね、実弥さん
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。