怪盗Sounds。
仮面をつけていて、正体は不明。
最近世間を賑わせている怪盗グループ。
最初は2人だと言われていたが、3人だったことがわかった。
鮮やかに、あっという間に取ってしまうためチラッと姿を見ただけでも幸運だと言われている。
ーーーそれが、僕たち。
元々、るぅとくんとさとみくんの2人で組んでいたんだけど、毎回毎回怪盗が予告状出すたびにいなくなるから後を追ってみたら、なんと本当にそうだった、ってわけ。
僕は仲間外れみたいで嫌で。
だから無理言っていれて貰ったんだ。
ちなみに2人も罪悪感はあったらしい。
僕だけ仲間外れみたいなのは、ちょっと、ね……みたいな。
ちなみに、なんで2人に怪盗始めたのか聞いたら、
「ドラマで見て楽しそうだったから」らしい。
……いや、そんなんで始めるな怪盗を!!
と言いたくなったけど、実際2人とも楽しんでるし、僕も楽しんでるから何も言えない。
まぁ、よくここまでやれるよね〜。
2人とも素質が良いんだろう、きっと。
………まぁ、怪盗の素質なんて本来なくてもいいものなんだけどね!!
「はい、桃音〜」
「お〜、ありがと水音」
「水音、ボイチェンつけましたよね?僕が頑張って頑張って水音の声を隠そうと……」
「あ〜もうつけたってば〜〜〜」
「いや、水音だけじゃなくて黄音……お前も結構特徴的な声してるからな?」
「え」
チクタク、チクタク…
時計は円を描くと、0時で止まる。
ゴーン、ゴーン、ゴーン……
「さぁ、行こうか?」
いつもとは違う、紳士的な喋り方のさとみくん。
ーーーもう、気を引き締めろということだろう。
「うん、行こう桃音」
僕も少し違う、丁寧な喋り方に。
「行きましょうか、2人とも。カウントダウン開始します」
いつもと変わらないけれど、どこか冷たすぎるような喋り方のるぅとくん。
カウントダウン、というのはただ僕たちが楽しむためだけに作ったもの。
「さーん」
「にーー」
「いーち」
「「「ーーーーーゼロ」」」
その掛け声とともに、今まで立っていた場所から
ぴょん、と降りて下へ。
そして、タンッという微かな音とともに今日の
会場へと一直線にジャンプ。
ーーーー今回も僕たちが勝って、盗んでみせる。
そんな意気込みとともに…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!