その日の夜は、どうしても眠れなかった。
放課後に聴いた、あのたくさんの音が、耳から離れなかった。
どうしても眠れなかったので、少し夜風に当たることにした。
玄関を抜け外に出ると、もう外はすっかり夏の匂いになっていた。
外廊下からマンションの外側を眺める。
すると、
後ろから声がした。
振り向くと、立っていたのは彪我さんだった。
すると彪我さんは
なんだか私は申し訳ない気持ちになってしまい、目を合わせられなかった。
普段、提案なんてすることのない彪我さんからそんなことを言われて、少し戸惑ってしまった。
そう言って彪我さんは歩き出した。
だけど、何を話すわけでもなく、あっという間にコンビニについてしまった。
そうですか。と呟き、彪我さんは水を買う。
コンビニを出て2、3歩歩いたところで彪我さんが口を開く。
ドキッとした。
罪悪感が、じわじわと私の心を埋める。
彪我さんは前を見ながら続ける。
6月にしては少しだけ冷たい風が吹く。
少しだけ、彪我さんの歩くスピードが落ちた気がした。
すると彪我さんは少し笑いながら首を横に振った。
彪我さんは嬉しそうに3回首を縦にふると、こう続けた。
すると彪我さんはまた、嬉しそうに、
自信満々にそう言う彪我さんに、私は疑問しか浮かばなかった。
びっくりしたと同時に、恥ずかしくなった。
そして彪我さんは、微笑みながら私に言った。
とても、綺麗だった。
顔が熱くなるのがわかる。
心臓の鼓動が速くなる。
声が出ない。
やっと絞り出せた言葉は、
その夜、私は、
必ず文化祭に出ようと決心した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。