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第6話

~6話~
それから2年間はお母さんが言っていたように、3人で強く生きていました。
とびっきり良い生活ができている訳ではなかったけど、笑顔が絶えることはありませんでした。
3人でお弁当を作って、3人で買い物に行って、3人で掃除や洗濯をして。
お父さんがいなくなったからって、欠けるものは1つもなかったんです。
でも、
私が中学2年生の冬を迎えようとしていた頃、私と妹は裏切られたんです。
母が、男の人を連れてきました。
そして、何を言い出すかと思えば、
お母さん
再婚しようと思うんやけど。
って。
あなた

え……?

信じられない。
信じたくない。
そう思いました。
「これからは、何があっても私達だけで強く生きていこうね。」
そう言った母が、
本人が、それを真っ先に破ったんです。
あなた

いや、ふざけんといて。それ、冗談やろ?

お母さん
ううん。本気やで。
理由が私には分からない。
前に一度、裏切られて3人になったんですよ?
なのにまた男の人を好きになりますか?
普通。
しかも、何の不自由もなく3人で暮らしてたのに。
あなた

なんやねん!それ!

お母さん
あなた!ちょっと待ち!
それ以来、母と話すことは少なくなっていきました。
田中雅功
田中雅功
それ、理由は聞いた?
あなた

聞いてません。

聞く必要もないし、
聞きたくもない。
どうせまたあの時の、あの父親みたいにタラタラ言い訳して終わりなだけなんですから。
とにかく、私は再婚に猛反対しました。
お母さん
あなた!話聞いて!
あなた

いやや!なんで私がまたこんな気持ちにならなあかんねん!再婚なんかしたら、一生恨むで。

お母さん
……。
でも結局、私が中学3年生になる頃、あの人は再婚したんです。
そこから一気に、人が信じられなくなりました。
「もう。誰とも喋りたくない……。」
母親に裏切られたんです。
もっと言えば、生みの親2人に裏切られたんです。
人を信じられなくなって当たり前ですよね。
「お母さんは……。そっか。そうだったんだ。」
あぁ、この人は子供のことなんてどうでも良かったんだなぁ。
って、悟っちゃったんですよ。
それから1年は、完全に引きこもり状態でした。
中学2年生の頃はまだ、地元の高校に進学するつもりだったんですけど、中学卒業と同時に家を飛び出して、東京に来ました。
あなた

上手く、伝わりましたかね?

私は雅功さんの顔をまともに見ることができなかった。
心臓の音が、脈を波打つ血液の音が、うるさいくらい私の中で響いている。
勢いで全部喋ってしまった。
なんて言われるだろうか、面倒くさいと思われているだろうか、どうでも良いと思われているだろうか。
「そんな話、聞かなきゃよかったよ。」
雅功さんがそんなこと言うはずがないのに、私の耳の中で、勝手に幻聴すら聞こえる。
私の目から、涙が溢れ出す。
これは、親とのことを思い出して流す涙ではない。
あなた

ご、ごめんなさい。こ、こんな話されてもって感じですよね。

雅功さんとの縁が、これをきっかけに終わってしまうんじゃないかと、それだけが怖かった。
心を許すということは、終わってしまう関係を始めるということだから。
田中雅功
田中雅功
ちゃんと伝わったよ。
雅功さんが口を開く。
耳を塞ぎたくて仕方がなかった。
正座で座っているからか、足が震えだす。
よく見たら、手も震えている。
あぁ。
こんなことなら話さなければ良かったな。
あなた

いいんです!何も言わなくて。無理かもしれないけど、聞かなかったことにしてください。

後悔、寂しさ、不安、たくさんの感情が、今まで感じたことのない想いが私の中で溢れ出して止まらなかった。
耐えきれず立ち上がろうとした私の腕を、優しく掴む。
田中雅功
田中雅功
あなたちゃん。大丈夫だよ。
優しくて温かい手が、そっと、私の頭を撫でた。