次の日、私は早速、軽音部の部室に足を運んだ。
入部届けを出したら、
部長に簡単な自己紹介と、希望の楽器を言うだけで、意外とすんなり入部できた。
そしてその日のうちに、私を含めた3人でバンドを結成した。
スリーピースバンドというらしい。
メンバーは、
ベースの橘 梨華ちゃん。
同い年の高校1年生で、みんなからは『りっちゃん』って呼ばれている。
少しおっとりとした性格と喋り方だ。
そして
ドラムの戸谷 ことはちゃん。
こちらも同い年の高校1年生だ。
あんまりみんなとは一緒にいない性格みたいで、少しだけ怖がられているようだ。
奇跡的というかなんというか、性格真逆な2人とバンドを組むことになったようだ。
りっちゃんが話し始める。
すると、ことはちゃんが怪訝な顔をしていう。
確かにそれは事実だ。
そういう風に思われることは、多少なりとも覚悟していた。
だけど、そんなあからさまに言うとは思ってなかったので、逆に清々しさを感じてしまった。
いいんかい!と誰もが心の中で突っ込むだろう。
私は、彪我さんに借りているエレキギターを取り出した。
少女漫画の中から飛び出してきたかのようなりっちゃんの話し方が楽しくてたまらない。
りっちゃんとことはちゃん。
性格真逆な2人だけど、なんだか息がぴったりなようにも思える。
そう言う私をチラッと見ると、ことはちゃんは自分のバッグを漁り始めた。
そして紙を2枚、渡してきた。
りっちゃんが手を叩く。
ことはちゃんがキリッとした目でこちらを見て、カウントを取り始める。
私は必死で、ことはちゃんを止める。
ハテナが浮かぶ。
りっちゃんは腰に手を当て、お嬢様のように怒っている。
なぜだか最近、私の意思とは関係のないところで話が進んでいく。
彪我さんに、歌も教えてもらわなきゃ……。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。