第15話

~15話~
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2021/03/31 04:00
あなた

よろしくお願いします!

次の日、私は早速、軽音部の部室に足を運んだ。
入部届けを出したら、
部長に簡単な自己紹介と、希望の楽器を言うだけで、意外とすんなり入部できた。
そしてその日のうちに、私を含めた3人でバンドを結成した。
スリーピースバンドというらしい。
メンバーは、
ベースの橘 梨華ちゃん。
同い年の高校1年生で、みんなからは『りっちゃん』って呼ばれている。
橘梨華
よろしくね~。
少しおっとりとした性格と喋り方だ。
そして
ドラムの戸谷 ことはちゃん。
こちらも同い年の高校1年生だ。
あんまりみんなとは一緒にいない性格みたいで、少しだけ怖がられているようだ。
戸谷ことは
よろしく。
奇跡的というかなんというか、性格真逆な2人とバンドを組むことになったようだ。
橘梨華
じゃあ、どうやって進めていこうか~。
りっちゃんが話し始める。
橘梨華
あなたちゃんはいつ頃からギターやってるの?
あなた

えっと。1ヶ月半くらい前ですかね。

すると、ことはちゃんが怪訝な顔をしていう。
戸谷ことは
え?じゃあ、完全な初心者じゃん。なんだよそれ……。
確かにそれは事実だ。
そういう風に思われることは、多少なりとも覚悟していた。
だけど、そんなあからさまに言うとは思ってなかったので、逆に清々しさを感じてしまった。
橘梨華
まぁまぁ!最初は誰だって初心者なんだし!これから上手になれるから大丈夫だよ!
戸谷ことは
まぁ、別にいいけど。
いいんかい!と誰もが心の中で突っ込むだろう。
あなた

あははは~……。初心者ですけど、私、精一杯頑張ります!!

橘梨華
うんうん!そうだねぇ!よし!では文化祭の公演に間に合うように、頑張りましょう!
私は、彪我さんに借りているエレキギターを取り出した。
橘梨華
へぇ~。レスポール使ってるんだね!
あなた

レスポール?ってなんですか?

橘梨華
えっとね。簡単に言うと、ギターの種類みたいな感じかなぁ~。知らないで買ったの?
あなた

あ、実はこれ、借りてるもので……。

橘梨華
わお!だから年季が入ってるんだね!重そうだし、女の子なのにすごいなぁ~。って思ってたの!
少女漫画の中から飛び出してきたかのようなりっちゃんの話し方が楽しくてたまらない。
戸谷ことは
ちょっと。早くやるよ。時間もそんなにないんだから。
橘梨華
ごめんごめん!
りっちゃんとことはちゃん。
性格真逆な2人だけど、なんだか息がぴったりなようにも思える。
あなた

そういえば、曲って何をやるんですか?カバーとかですかね?

そう言う私をチラッと見ると、ことはちゃんは自分のバッグを漁り始めた。
戸谷ことは
はい。
そして紙を2枚、渡してきた。
あなた

これ、は、なんですか?

戸谷ことは
曲書いてきたから。歌詞と譜面。
りっちゃんが手を叩く。
橘梨華
すご~い!!さっすが音楽一家の長女!
あなた

音楽一家?

橘梨華
そうそう!ことはちゃんの家族は代々音楽家なんだよ!ことはちゃん、ドラムだけじゃなくてギターもベースもピアノも、あとはフルートとかもできちゃうんだよ!
戸谷ことは
ねぇ!早くやるよ。
ことはちゃんがキリッとした目でこちらを見て、カウントを取り始める。
戸谷ことは
1,2,3,4
あなた

ちょっと待ってちょっと待って!そんなすぐにできないよ!

私は必死で、ことはちゃんを止める。
戸谷ことは
こういうのはやりながら覚えていくのが1番なの。歌はまだ歌わなくていいから、ギターは弾けるところだけ弾いて。
ハテナが浮かぶ。
あなた

え?歌って私が歌うの?

戸谷ことは
そりゃそうでしょ。え、それとも……。梨華、歌う?
橘梨華
私が歌下手なの知ってて言ってるでしょ!ことはちゃん!
りっちゃんは腰に手を当て、お嬢様のように怒っている。
戸谷ことは
じゃあ、あなたちゃんがボーカルなのは決定だね。
なぜだか最近、私の意思とは関係のないところで話が進んでいく。
彪我さんに、歌も教えてもらわなきゃ……。

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