第61話
陸拾弐話~藤の花公園~
~栗花落カナヲside~
私たちは下校し、急いで蝶屋敷に向かう。
皆で毎日行くようになるとだんだん、名前と性格を覚えてくれた。
でも、1つ、気になってることがある。
それは、あなたちゃんは善逸と話してる時だけ、なんかギクシャクしていること。
確かに、善逸は、あなたちゃんへの愛はとても強い。
だって、あなたちゃんのことが好きだったから。
でも、あなたちゃんは、誰が好きなんだっけ……?
私たちはあなたちゃんの願いを叶えるため、蝶屋敷を出発した。
~~
辿り着いた先は……
そう。藤の花公園。
私とあなたちゃんと師範が出会った場所だった。
そう言って、藤の花の匂いを嗅いでいたあなたちゃんの方を見る。
急にあなたちゃんは、しゃがみこみ、私を上目遣いで見つめた。
か、か、可愛いっっっっ!
急に泣き出してどうしたんだろう……。
もしかして、
記憶が蘇った……?
炭治郎たちがいっせいに、私の横に並ぶ。
でも、あなたちゃんは、顔を沈ませた。
でも、分かった。
あなたちゃんを思い出させるには……。
出会った場所に行って藤の花を嗅ぐことだ。
~~