第3話
惨の巻 山
夕暮れの時、私は蝶屋敷をとびだした。
そして、蝶屋敷の目の前にある山を駆け登る。
でも、思ったより簡単だ。
こんな簡単で良いのかな……?
きっと罠があるはず……
私は感覚を研ぎ澄まさせた。
そして、呼吸を整える。
ここには、鬼のようなものは出てこないはず。
そう思っていたのに……
え、ちょっと待ってっ、?
出てくんの!?
しのぶさんの事を知ってるの……?
と、そんな事を聞く間もなく私に襲いかかってきた。
どうしよう……!死んじゃう……!
私は目をつむった……。
~走馬灯(?)~
私が小さい頃の話……
母「あなた、こっちに来なさい?」
『うんっ、なぁに?お母さんっ!』
母「私、自然と植物が大好きなの」
『私もお花とか大好き!木も大好きだよ!
自然がたくさん、あるところ好きだもんっ!』
母「ふふっ。そうよね。私も大好きよ。
あなたは自然が大好きだから、きっと植物はあなたがピンチな時、救ってくれるわ。
少し植物の事を考えながら深呼吸してごらん?」
私は深呼吸をしてみた。
私の勘違いかもしれないけれど、少し心が温かくなった気がした。
母「あなたは、強い子よ。何事にも頑張ってね。」
~終~
もし、お母さんが言ってる事が本当なら……っ!
すると、不思議と私の周りに生えている草たちが、なぜか藤の花のような植物に変わった。
鬼は顔をしかめる。
そう言って鬼たちは逃げていった。
な、なんなんだろう。今の。
私は下山を始めた。
山から蝶屋敷を見る。
もう街は夜の闇に包まれていた。
~~