第59話
陸拾話~大事件~
~栗花落カナヲside~
あなたちゃんが、思い出さなくなって、10日。
師範が言うには、もう思い出さないだろうって。
今日は教室で炭治郎とお話しよう………。
~~
炭治郎は笑顔だったけど、私一人の姿を見て少し悲しんだ表情を見せた。
私はうなずいた。
どうしよう。
どうすれば良いんだろう。
全く分からない。
けど、あなたちゃんは、自分が鬼殺隊であることは覚えている。
なら、なんで私たちのことは思い出せないの……?
私はしぶしぶうなずく。
ごめんねとしか言えなくて。
でも、全てが私のせいだと言えば……私のせいになるし、全てが私のせいじゃないと言えば、私のせいでもない。
その言葉で皆は席についた。
転校生………か。
冨岡先生は一旦、廊下に出てすぐ戻り黒板に名前を書いた。
その名前は………
『冴木しおり』
冴木………!?
入ってきて、すぐにお辞儀をした。
けど、すぐに顔をしかめて冨岡先生に向き直る。
っ!
冴木………
あなたちゃんの名字………。
つまり、彼女は………あなたちゃんの………
しおりちゃんは、「やっと見つけた」と安心したように微笑んだかと思えば……。
そう言ったとたん、彼女の頭からは角が出た。
………どういうこと?
しかも、鬼の角がはえてからわかった。
彼女はあなたちゃんに最後の戦いの時、血鬼術をかけた人だ………。