次の日のお昼休み。
彼からLINEが。
お店のURLが届いた。
銀座にあるお洒落なお店だ。
ちゃんと話せるかな…
不安が押し寄せる。
すると、葉月からLINEが。
彼と会う事を伝える。
心配する葉月。
大丈夫だよって送ったけど、
正直自信はない。
そんな時、望くんからLINEが。
お弁当の画像と、
なんでだかわからないけど、
望くんから連絡が来ると元気になる。
明るくて屈託のない笑顔がそうさせる。
ありがと、望くん。
よっしゃ!
今日は気持ち強めに!頑張るぞ!
夜8時。
お店に入る。
奥の個室に通される。
胸が締め付けられる。
上司と部下の関係…
前のように戻るんだ…
終わりと思うと寂しくなる…
そんな気持ちを振り払いたくて、
お酒を飲む。
お店を出る頃にはふらふらで。
頭をぽんぽんとされた。
私を見つめる目はとても優しくて、
あったかくて、
吸い込まれそうで…
泣きそうになる。
彼は私の頬に手をのせると静かに言った。
駅まで歩く。
隣で歩く彼の手が触れる度、
その手を握りたくなって。
離れたくなくなって、
帰りたくなくなって、
まだこの人と…
一緒にいたい…
彼の手を取ろうとした時、
ブーブーブーブー
カバンの中で携帯が鳴る。
元気な声の、望くんだ。
電話を切る。
望くんの声で、一気に目が覚めた気がして。
私は本当ダメな女だ。
繰り返すとこだった。
またあの子に助けられた。
彼は不思議そうな顔をすると、また歩き出した。
私は彼の大きな背中越しに呟いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。