_you。
そら君は色んな感情を背負って、
私の恋を後押ししてくれてる。
見えない瞳は何を映してるんだろう。
そら君を置き去りにするのを躊躇った。
でも、もう決めたから。
一言だけ言うと、私は教室を後にした。
_S。
俺はもう振り向かない事にした。
結局、あなたの恋を後押ししてしまった。
「自分を選んで」とは言えなかった。
あなたがはっきり「まふが好き」って
言った時に何かが切れた。
だからせめて仲違いをおさめて、
応援するのが関の山だった。
あなたの言葉につい振り返ると
もうあなたの姿はなかった。
結局、俺じゃ駄目だったんだな……。
_M。
あなたが、来ない。
そらるさんを選んだのかな。
今頃2人で笑ってるのか…?
長さの決まってない待ち時間は
僕の心に影を落とすばかりだ。
ネガティブゾーンに入りかけた時、
彼女は姿を現した。
走って来たのか息切れしてる。
僕の方へ向かってくるあなたの顔は
清々しさに満ちていた。
そらるさんと、ちゃんと話が出来たみたいだ。
そして僕のところに来てくれたってことは……。
現時点であなたの気持ちを知れたようなものだけど、
僕から何を言えばいいのか分からない。
そうだ。
僕はずっと、"好き"とは別に
伝えたいことがあったんだ。
_you。
まふまふ君にいよいよ返事をする。
お互い緊張していて会話も辿々しい。
私が本題に入ろうとすると、
まふまふ君はそれを制した。
ずっと言ってた、まふまふ君になくて
私にあるもののこと…?
私が謙遜すると、まふまふ君が
私に寄ってきて肩を力強く、
だけど優しい手つきで掴んだ。
まふまふ君は私の目を真っ直ぐ見て話し続ける。
彼の瞳に自分が映ってるが分かる。
まふまふ君の言葉が私の心に直接響く。
私が、必要…?
私の心に絡まった細く、黒い糸が
解けていくような感覚。
私が、一番欲しかった言葉。
彼はやっぱり私の心の穴を埋めてくれる。
私を、明るくしてくれる。
まふまふ君は私の肩から手を離した。
私にも、まふまふ君は必要不可欠だ。
私は言い終わると全力で笑った。
感謝を始めとした、彼への想いを込めて。
するとまふまふ君は顔を赤くした後
今まで見た中で一番の笑顔で
と言って手を差し出した。
目の前にいる彼の姿は"前"とぴったり同じだけど
お互いの想い、特に私から彼への想いは
凄く変わった。
前とは違って私は焦ることなく
差し出された手を取り、
明るく、元気よく笑った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。