_you。
今日はそら君とのお家デート。
そら君は春に私の家から少し離れた
マンションに引っ越した。
大学に近いんだって。
男性の一人暮らしにしては綺麗すぎる部屋に
色のトーンが揃えられた家具。
群青色のソファに腰掛け、荷物を置く。
それから2人で話しながらゲームをした。
隣にそら君が座ってて、
一緒に笑いながらいられて楽しかった。
半分以上負けたけど。
お互い名残り惜しい。
でも帰らなくちゃとドアを閉めた。
1人、暗い道を歩く。
今日のそら君、どこかおかしかった。
ゲーム中に上の空だったり、
話してても顔色が曇ってたり。
もしかしてこないだ大学で話してた人と
関係あるのかなぁ。
やっぱり私じゃ、不釣り合いなのかな…。
数日前、まふ君に相談しても
と笑い飛ばされて終わったのでダメだ。
こっちは真剣に悩んでるのに!
笑い飛ばした後の真剣な目をした
まふ君の言葉が蘇る。
私がちゃんとそら君を"見る"…?
私は歩を止めて引き返した。
さっきより早足になって。
すぐにコンビニに寄り、そら君の家に向かった。
私が見てたそら君は………浮気なんてしない。
顔色が悪かったのは
"気持ち"じゃなくて"体調"の問題。
そら君が小さい時から風邪をひいた時の特徴。
よく思い出せば全部揃ってる。
私はインターホンを鳴らす。
言葉も途切れ途切れで息も上がってる。
こりゃ相当我慢させちゃったみたい。
糸が切れたみたいに
そら君の体がぐにゃりと曲がった。
何とか支えてさっき来た時に教えてもらった
部屋割を思い出しながら寝室に連れて行った。
さっき買ってきた冷えピタを彼のおでこに貼る。
布団を首まで掛けてキッチンに向かおうとすると、
そら君に手を掴まれた。
弱ってるのかそら君が甘えてくる。
いつも大人っぽい彼の可愛らしい姿に
微笑みながらも優しく言い聞かせる。
キッチンに行って冷蔵庫を開けると
想像通り物が少ない。
最低限度の物はあるけどちょっと足りない。
さっきコンビニで買って来た物が役に立つ。
そら君のお母さんが作ってたお粥を
思い出しながらアレンジを加えて作った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!