文化祭当日、1日目。
午前中はひたすらに働いた。
まふまふ君をはじめとした
イケメン、美女目当ての客が殺到したからだ。
うちのクラスには元々顔が整ってる人が多いし、
更に今はコスプレまでしてるからそりゃあ、もう。
まふまふ君とは、
注文を聞く時くらいしか話せてない。
彼も軽くメイクをしてて、
コスプレも似合いすぎてる。
裏方は想定以上のお客さんにドタバタ状態。
シフトが終わった頃にはボロボロだった。
すっかりメイクも落として
いつも通りの制服姿に戻ったまふまふ君。
メイクなんてしてなくてもこの高身長イケメンは
とてつもなくカッコイイ。
隣を私なんかが歩いていーのか不安なレベル。
彼は私に手を差し出す。
私が首を傾げると、まふまふ君は
私の手を取り、自分の指と絡ませた。
恋人繋ぎしてる手から顔を上げると
まふまふ君は今まで見たことない、
"男子"らしい顔をしていた。
もう告白の返事は決まったようなものになってる
私は、まふまふ君の提案に乗った。
2人で屋台で買って分けあったり、
ゲームを協力してやったりと
沢山カップルっぽいことをした。
どれも初めてのことだった。
最初は恥ずかしかったけど、慣れたら楽しかった。
一生分の青春が詰め込まれたみたいな、
そんな時間だった。
同じようなことを彼に伝えたら、
なんて言って笑った。
その笑顔は反則級にカッコよくて、
家や学校での理不尽なことを忘れて
心から笑えたのは、久々だった。
この気持ちは。
心が暖かさに包まれて幸せになるこの気持ちは。
これは"好き"ってことだよね。
私は_______
まふまふ君のことが好きだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。