_you。
そら君は色んな感情を背負って、
私の恋を後押ししてくれてる。
見えない瞳は何を映してるんだろう。
私の中で何かが揺れ動く。
私、私は…。
"彼"には申し訳ないけど……
この気持ちに素直になりたい!
_S。
背中に視線を感じる。
行くなら早く行ってくれ。
もう俺に出来ることなんてないから。
そう思ってたら急に、後ろから抱きつかれた。
顔は見えないけど、声からあなたが
真剣なのは伝わってきた。
そしてその声に申し訳なさが混じっているのも。
それは俺に対しても、まふに対してもだと。
_M。
何となく、そんな気はしてた。
僕のとこには来ないんじゃないかって。
感じてたし、分かってた。
でも、でもどこか期待はしてた。
壁にもたれ掛かり、溜息をつく。
でも、あなたが幸せならそれでいい。
例えあなたを笑顔にするのが自分じゃなくても。
_you。
必死にそら君に想いを伝えた。
これが、私の選んだ答え。
ずっと影で、私を支えてきてくれたそら君。
私は……彼の側にいたい。
私が話し終えるとそら君はそっと私を離した。
そら君の瞳がゆらゆら揺らいでいる。
私はそら君の問い掛けに心を込めて答える。
そら君の目に光が宿ったのが見えた。
ぽつりぽつりと話すそら君の言葉が
私の心に刺さる。
でもさっきの言葉とはまた、違った響き方だ。
私は無言で頷く。
涙で相槌すら言葉に出来なくなったから。
そら君が、そんな風に言うから……
涙が止まらなくなっちゃったんだ。
そら君が心配した目で私を見る。
拭いても拭いても涙が止まらない。
私が一番求めてた言葉、存在。
必死に指で涙を塞き止めて笑顔で言う。
そら君は少し驚いたように目を見開いた後、
直ぐに笑顔を返してくれる。
そして私との距離を一歩近づけて
目を合わせたまま、お互い笑顔のまま。
私が返事をしたのと同時に開かれた両手。
私は走ってそら君の懐に潜る。
お互い背中に手を回す。
そして私が上を向くとそら君は微笑んだ。
この笑顔と温もりは、
色褪せること無く
私の側にあり続けるだろう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!