手を掴まれた状態でまふまふ君に褒められる。
私にこの服が似合ってる、って。
彼はお世辞が上手だ。
私が何度自虐をしても絶対に否定する。
それは少し嬉しくもあるけど、
やっぱり自分を下げたくなってしまう。
ほんとは褒められたいのに。
私の気持ちは矛盾だらけだ。
私はまふまふ君に言った。
どうして私を褒めてくれるのか。
するとまふまふ君が私に更に近づいて
フッと微笑むと
友達として過ごしていてとても楽しかった。
やっぱりまふまふ君はキラキラしてて
色々思ったりもしたけど、純粋に楽しかった。
彼が2度も私に告白するなんて考えもしなかった。
冗談言って笑い合う仲なだけだと思ってた。
嬉しさと驚きと、複雑さで頭がこんがらかった。
まふまふ君は私に詰め寄る。
彼の目は真剣そのものだ。
私の目を真っ直ぐ見て微笑んだ。
私は、どうしたらいいんだろう。
彼のことは好きだ。
一緒にいて楽しいし、こんな人と友達なんて
夢見たいと言っても過言ではない。
優しくて私のことを想ってくれてる。
とても嬉しい、けど。
私のまふまふ君への気持ちが
愛を示す"好き"かは分からない。
こんなに真剣に伝えてくれる人に
中途半端な答えを返したくない。
私があれこれ考えていると
まふまふ君は私に考える時間をくれた。
答えを待つのは辛いはずなのに。
まふまふ君はこの気まずい空気を察してか
1人で帰っていった。
私はメイド服のスカートを強く握り締めた。
夏休み。
まふまふ君からは何の連絡も無く、
ただ怠けて過ごした。
私達に何も進展はなかった。
私の裏でとある2人の関係が変わっているなど、
私は知る由もなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!