第12話

s I 3。
1,215
2020/03/21 15:48
花壇であなたと"アイツら"を見た次の日。

昼休みに校内を走り回って

アイツらを見つけて話しかける。
そらる
そらる
ねぇ。君達、放課後
ちょっと校舎裏来てくれない?
女子「えっ、そ、そらる先輩⁉︎」

女子「そらる先輩からお呼び出し〜⁉︎」

女子「しかもウチら全員ですか⁉︎」


俺から話しかけられてかなり驚いている。

俺が誰かに話しかける、増してや

他学年の女子になどほぼない。
そらる
そらる
そうだよ。
話したいことがあって。
何か用事ある?
警戒されないように微笑んでみる。

まぁ、コイツらは俺やまふまふの表面だけ見て

騒いでる奴らの筆頭みたいなもんだから

俺に警戒心なんてあるわけないけど。


女子「ないですないです!」

女子「皆いけるよね?」

女子「予定ないわ。」

女子「てかそらる先輩より大事な予定とかない。」

女子「それなー!」
そらる
そらる
じゃあ放課後、待ってるから。
女子「「「「「はーい!」」」」


嬉しそうな高めのトーンで返事をされて

内心吐き気がしたが、笑顔で手を振って立ち去る。

さあ、作戦開始だ。


放課後。

俺は鞄を持って校舎裏に向かう。

まふには係の仕事がある、と言ったら

浦田君と坂田と帰って行った。

まふには内緒でアイツらを潰したかった。

せめてもの対抗心だった。


俺が校舎裏に着くと見事にアイツらは揃っていた。

…単純。
そらる
そらる
ごめん、遅かった?
女子「「「「いえいえ‼︎」」」」」
そらる
そらる
そう。よかった。
女子「あの、先輩…」

女子「私達に話、って…?」


良い方の想像をしているのか、恍惚とした表情だ。

残念、真逆。

でもここは一旦演技をしないと。
そらる
そらる
君達に頼みがあって。
連絡先、交換しない?
女子「え⁉︎よ、喜んで!」

女子「マジ、夢…?」


はしゃぐ女子達。

おそらくリーダー的存在の奴から携帯を受け取ると

速攻で開かれていたアプリを閉じ、

写真のフォルダを開く。

少しスクロールをしたらすぐにあった。

まふとあなたが手を繋いでいる、というか

まふの手にあなたの手が重なっている写真。

偶然撮れた、って感じか。
そらる
そらる
……コレ、何?
さっきまでとは比べ物にならない

いつもより更に低い声で携帯の画面を突きつける。


女子「え、そ、それは…。」

女子「なんでその写真を……。」
そらる
そらる
答えて。コレ、何?
女子「えっと、別に何でも…。」

女子「どうして、そらる先輩がそれを?」


単純な女子達は驚いているが、

リーダー的な奴は冷静さを残していた。
そらる
そらる
言う必要ある?
それより、どーやってコレ撮ったか
教えてくれない?
女子「そいつが最近、
妙にまふまふ君と仲が良いから…。」

女子「む、むかついて…。」

女子「たまたま良い写真が撮れて…。」


1人1人ポツポツと呟く。
そらる
そらる
へえ。たまたま"お前ら"の前を
あなたとまふが歩いてて、
たまたまお前らの前で2人が
手を繋いだって?
女子「え、あ……。」

女子「どうしてあなたの名前を…!」
そらる
そらる
家が近所だから。
よくこんな大人数の前で2人も
手を繋いだりなんてしたよな。
女子「あなたが勝手に…!」

女子「まふまふ君は皆のアイドルなのに!」

女子「1人だけ調子乗ってるから…!」
そらる
そらる
の割にはこの写真、2人と結構
距離があるように見えるんだけど。
しかも道の端を歩いてる2人が
斜めに見えるってことはお前らが
コソコソ隠れて撮った証拠じゃない?
女子「どうしてそらる先輩がこの写真のことを          
気にするんですか…?」

女子「そもそも何でこのことを知って…。」
そらる
そらる
花壇でお前らがあなたを脅してんの
偶然見ちゃって。
どーせこの感じだとあなたに
嫌がらせとかしてんだろ。
まふがあなたと話せなくて
落ち込んでるし、知ってて
ほっとくなんてことしねーよ。
女子「「「「「………。」」」」」


返す言葉がなくなって黙りこくった。
そらる
そらる
お前らのアイドル"まふまふ君"が
傷ついてるけど?お前らが
余計なことを し た せ い で。
女子「……帰ります、失礼しました。」

女子「もうやりません……。」


逃げ出そうとする女子達。

このままだとこの場だけの約束で済ますに違いない。
そらる
そらる
待て。お前らの口約束と
薄っぺらい謝罪を
聞きにきた訳じゃない。
俺の手から取り返そうとする女子に

届かないように携帯を上に上げる。
そらる
そらる
全員写真を消して。
ちゃんと俺に見せて。
女子「な、何で…!」

女子「これでせっかくあいつがまふまふ君に
近づかなくなったのに!」

女子「消さなきゃいけない理由なんて
ないじゃないですか!」


最後の悪あがきのように吠え出す。

すると俺の口角が上がる。
そらる
そらる
はいはい、いい証拠ありがとう。
お前らが消さなきゃいけない理由は
俺が録音してたコレ、かな?
自分のボイスメモが開かれた携帯を出す。


女子「なっ、そんなのひどい!」

女子「先輩が後輩脅していいんですか⁉︎」
そらる
そらる
…ははっ!脅し、ねぇ。
わざわざ後つけて盗撮して、
それで脅すのはいいんだ?
女子「「「「「………。」」」」」
そらる
そらる
早く消しなよ。
女子達は観念して写真を全て消した。

そしてすぐに立ち去ろうとする。
そらる
そらる
お前ら、まふまふとあなたに
二度と余計なことすんなよ。
2人の間に何があろうと
あいつらの勝手だろ。
また卑怯なことして2人に何かあったら
………ただじゃおかねえから。
俺が鋭く睨みつけると女子達は

走り去って行った。

我ながら割といい演技。

あなたのためとはいえ、

俺があそこまで言わなくていいのに。

ほんとはまふとあなたに何もあってほしくない。

あなたがまふと離れるのは嬉しいはずなのに…。


でもこれで、あなたがアイツらに

何かされることはないだろう。

あなたがこのことを知って俺を見直す………

そんなうまい話、ないよな。

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