第8話

s I 2。
1,284
2020/03/21 15:38
まふがあなたに告白してからと言うもの、

こいつは…
まふまふ
まふまふ
そらるさん!そらるさん!
今日あなたがですね…
毎日のようにあなたと何があったのかを

俺に話してくる。

どれも大した話ではない。

それでもまふはすごく楽しそうに話す。

本当に純粋な奴だ。

一度フられてはいるもののまだ希望があるから

まふはひたむきに恋している。

羨ましい。

まふの純粋さと、真っ直ぐさが。

俺はと言うと、総会の日以降

あなたと顔を合わせていなかった。


放課後、まふが俺の教室に飛び込んできた。
まふまふ
まふまふ
そらるさーーん!
そらる
そらる
あ、なんだよまふまふ…。
いつもより騒がしいまふに

引きずられるように学校を出る。


まふからの相談はあなたに突然避けられたこと。

俺に聞かれても解決策なんてないんだけど…。

まふは俺しか頼れないと言う。

出来るだけのアドバイスはした。

俺も誰かにアドバイスしてほしい、なんて。


寝ても覚めてもまふから聞いた

あなたの異変が気になった。

あなたはよく溜め込んでしまうから。

きっと誰にも話さずに何かを抱えているんだ。

あんなに小さな体で。

誰も頼らずに、迷惑をかけないように

1人で頑張ろうとしてる。

俺はそんなあなたが好きだけど、

放っておく訳にはいかない。

俺にも何かやれることはないか考えた。

きっとあなたは俺の助けなんか

必要としちゃいないけど。

もう俺のことなんて、

嫌いでしかないかもしれないけど。

俺はあなたが好きだから。

あなたを助けたいから。


俺があなたを助けてみせる_____


まず、あなたが何に悩んでいるのか

原因を知らないといけない。

人に言えない何か、そしてまふに関わる何か。


こりゃつけてみないと分かんねえな。

俺はあなたの後をつけることにした。

朝、あなたが家を出たことを確認して

しれっと後ろを歩く。

学校に入るまでは何もおかしなことはない。

次にお昼。

食堂であなたの姿を見つけて

少し遠くから見守ったが、

1人で食べていて誰も来なかった。

下校も朝と一緒。


やってることが軽いストーカーっぽい気がする。

でもこんなに家が近ければ

狙わなくても登下校の時間が近いことは

あり得るし、食堂だって皆使うから平気。

あまり不審すぎる行為はしていないはずだ。

かなりそれらしいことはしたけどな。


様子を見た限り、他学年と関わるところでは

何事もなかったから同学年、

またはクラスで何かあったと予測した。

クラスは俺にはどうしようもないな…。

でもまふの力は借りたくない。

俺があなたを守るって決めたから。


昼休みに花壇の側にいるあなたが窓から見えた。

俺は窓に貼りつく勢いであなたを見る。

あなたの近くにぞろぞろ現れたのは

化粧の濃い女子達。

上履きの色からあなたと同学年だ。

女子達があなたを囲い、携帯をちらつかせていて

あなたは顔を曇らせている。

女子達はあなたに突っかかり終わると

笑いながら去って行った。

立ち尽くすあなた。


声こそ聞こえなかったが、察した。

多分あなたは"アイツら"に写真を盗撮されて

脅されている。

まふに関わるってことはまふとの写真だろうか。

アイツらはまふのファン、だな。


よし、手の打ち方が分かった。

プリ小説オーディオドラマ