第26話

you 15。
1,009
2020/02/20 07:41
夏休み明け。

夏休みですっかり怠けた体に鞭打って学校に向かう。

クラスに着くと、テンションの高い会話に入る。


今回の夏休みはそこそこ楽しかった。

相変わらず非リアではあったけどね。

海も、花火大会も、遠出も全部女子友達と行った。

あー、悲し。

華のJKともなれば、

勝手に彼氏が出来るもんだと思ってた。


あ、でもまふまふ君に告白されたんだった。

あんな現実離れしたイケメンに。

彼は"今まで通り"って言ってたけど

少しは気まずくなるよなぁ。
まふまふ
まふまふ
あなた、おはよ!
(なまえ)
あなた
あっ、おはよー!
私の心の内を読むかのように現れたまふまふ君は

驚く程いつも通りで私も合わせて返す。

私が気にしすぎなだけ、なのかな……。


今日は劇練習。

台本を読みながら動いてみる。

まふまふ君の提案通り、

一風変わったプリンセスの話は

かなり面白いものになっていた。

魔女役「お嬢さん、林檎はいかが?」
(なまえ)
あなた
結構よ。貴方、何だか胡散臭いもの。
それにこの林檎、
美味しくなさそうだわ。
穏やかで優しい、どころか

本性は冷静で毒舌という白雪姫。

私にピッタリかもしれない。

所詮私には、王道ヒロインなんて似合わないから。

魔女役「まぁ、そう言わずに____」




劇練習にカフェの準備、その他雑用。

あっという間に1日1日が過ぎていき、

夏休みの感覚が抜けるより先に文化祭前日になった。

カフェの設置、劇の最終確認も終わって、

今日は早めの解散だ。
まふまふ
まふまふ
あなたー、帰ろ!
(なまえ)
あなた
うん。
今日は流石に雑務はないので、

まふまふ君と帰れる。
まふまふ
まふまふ
いよいよ明日だねー、文化祭。
(なまえ)
あなた
そうだねー。何かあっという間だった。
まふまふ
まふまふ
あーー!楽しみだなあ!
(なまえ)
あなた
まふまふ君準備、頑張ってたもんね。
まふまふ
まふまふ
うん!…でも!僕なんかより
あなたの方が大変だったでしょ?
お疲れ様!
余程楽しみなのか、ニコニコしてるまふまふ君。

彼はかなり積極的に準備に参加してたので

私が褒めると、私を労ってくれた。

"お疲れ様"

大したことじゃないはずだけど、

中々言われることのない私にとって

とてつもなく嬉しい言葉だった。
(なまえ)
あなた
ありがと。楽しもうね!
嬉しさから何かキャラに

合わないようなテンションで私も笑い返す。
まふまふ
まふまふ
あなた、シフトいつだっけ?
シフトとはカフェの話。
(なまえ)
あなた
明日は午前かなぁ。
まふまふ
まふまふ
あ、僕も!じゃあさ、午後
僕と一緒に回らない?
(なまえ)
あなた
え…!
まふまふ君と文化祭を回る…。

全校にいる彼のファンに目をつけられないかな。

まぁ、今更遅いか。

まふまふ君とここまで仲良くしてるのは私だけだし。

"私だけ"って嬉しいな……。

って、何考えてんだ私!
まふまふ
まふまふ
嫌、だった?
つい反射で驚いてしまった私の反応を見て、

まふまふ君は悲しそうな顔をする。
(なまえ)
あなた
あ、いや!全然!嬉しいよ。
心からの笑顔を浮かべて彼を安心させようとする。

一緒に回ることが決定し、

その後は他愛のない話をして別れた。


家に着くなりベッドに倒れ込む。

明日から文化祭。

後夜祭は明後日だから、それまでに

告白の返事を決めなければならない。

「断る」という選択肢はない。

私に好意を向けてくれる人なんてそうそういない。

最初に告白された時だって、

彼と私が付き合うなんて恐れ多すぎて

友達になったんだし。

さっきみたいに、彼は私が欲しい言葉をくれる。

それは好意を向けてくれてるからだけじゃない。

"人として何か"足りてない私の、

"何か"を埋めてくれるのは彼な気がする。


まふまふ君の前では誤魔化していたが、

私の疲労は溜まりに溜まっていた。

準備は楽しくもあったけど

私の仕事量は安定に人の何倍で

体力もだけど精神的にも擦り減っていた。


明日は本番。

疲れた顔をしていては駄目だ。

そー思いつつも、いつも通り過ごしていたら

12時を過ぎてから寝ることになってしまった。
(なまえ)
あなた
まだ、分かんないや……。
まふまふ君への答えは形が定まらないまま、

私は考えることを放棄した。

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