第11話

you 6。
1,228
2020/01/08 08:06
憂鬱だ。

昨日の放課後、文化祭担当の先生に

報告に行ったら面倒そうに

絶対明日中には決めろ、と言われた。

ただ、昨日のクラスの雰囲気や

女子達の妨害を考えると不安だ。


そして劇の内容を決める時間。

もう自分の意見を何が何でも押し通して

早々に終わらせようと決めていた。
(なまえ)
あなた
何か、劇の内容で
提案のある人はいますか?
どーせいないでしょ。

いても"あの女子達"が

話を引き延ばそうとしてくるだけ。

半ば諦めて提案を求めるとピッと勢いよく

白く細長い手が挙げられる。
(なまえ)
あなた
…⁉︎ま、まふまふ君……。
動揺してから慌て気味にまふまふ君を指す。

彼は少し微笑んで立ち上がった。


まふまふ君の提案はかなり具体的で

とても良いものだった。

自然と笑みが漏れかけるも

女子達の視線を感じて真顔に戻る。
(なまえ)
あなた
まふまふ君の意見を採用で、
いいですか?
女子達もまふまふ君の意見を受け入れた。

おかげであっさり劇の方針が決まり、

細かい話に進めた。

彼の方をチラリと見ると

目が合ってニコッと微笑まれた。
(なまえ)
あなた
…!
早く話を進めるために手を挙げてくれた…?

彼は普段、あまり率先して発表することはない。

沢山の女子と話しているし、

コミュ力の高い陽キャだけど

クラスでは基本静かだ。

そんな彼が発言したからもしかして…

なんて、浮かれすぎだろうか。

私のため、とか自意識過剰じゃん。


とりあえず今日のところは

ステージに立つ表方と演出・小道具などの裏方。

どちらかに分かれた。

裏方をやりたい人の方が少し多かったから

私は表方、演者だ。

役はまた、後日話し合い。


次の日から。

"あの女子達"の嫌がらせがピシャリと止んだ。

私も見てもそそくさといなくなる。

その様子を見て友達が私に寄ってきた。

またも「ごめんね。」とだけ言って。

私は笑顔で友達とくだらない話をした。
まふまふ
まふまふ
あなた、おはよう。
まふまふ君が話しかけてきた。

私は一瞬どうしようか戸惑ったけど

もう女子達も大丈夫そうだからいいかな、

と思って彼の方に向き直った。
(なまえ)
あなた
おはよう、まふまふ君。
今できる、精一杯の笑みを浮かべた。

感謝と謝罪の意味で。

すると彼は顔を真っ赤にした後

眩しすぎるイケメンスマイルになった。


まふまふ君はどうして避けてたのか、聞かなかった。

ただ嬉しそうに、

今まで話せなかった分を埋めるように

沢山話してきた。

すごく楽しかった。

前より距離が近づいた、気がした。

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