第22話

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2020/02/09 06:35
劇の役決めをした次の日から

文化祭準備が本格化していった。

あなたはかなり忙しそう。

それでも笑顔で頑張るあなたはやっぱり素敵で。

僕にはとても出来ない量の仕事を

文句も言わずやるあなたは凄いと尊敬する。


僕もクラスの準備を進めていく。

はしゃぐ女子達とカフェのメニューを考えたり、

劇やコスプレの衣装作りを手伝ったり。

まあ、不器用だから迷惑かける事の方が

多いんだけどね。

あなたが近くにいるだけで、あまり好きじゃなかった

学校行事がこんなに楽しくなるなんて。

めんどくさい準備も、

あなたが頑張ってるから僕も頑張る。

やっぱりあなたは僕にとってかけがえのない存在だ。


あっという間に夏休み前日まで過ぎていった。

いつもより短いお決まりの特殊日課の後、

文化祭準備をしてた下校になった。

あなたを誘ったけど、まだ仕事があるらしくて

明日から夏休みに入って会えなくなるのに

一緒に帰れなかった。

頑張ってるあなたが好きだから応援するけど。

仕事を邪魔してでも一緒にいたいって思ったり。

正直そらるさんがあなたを助けた時から

あなたがそらるさんに取られないか

心配で焦っていた。


1人で悶々としながら歩いてたら

忘れ物があったことに気付いた。

……やべぇ。

急ぎ足で人混みに逆らって学校に戻る。


先生にバレるとめんどくさいので

ひっそり教室に行く。

ガラガラッ

ドアが大きな音を立ててしまったが、

さっき通った時職員室に灯りが点いてたので

教室には誰もいないから平気だろう。
まふまふ
まふまふ
あー忘れ物忘れ物ー……。
するとサッと走る音が聞こえた。

慌てて顔を上げたが誰もいない。

でも確かに音がした。
まふまふ
まふまふ
誰かいるの……?
音がした方に歩いて行くと

文化祭準備で衣装に着替える時の為に

設置された更衣室のカーテンから

あなたが顔を覗かせた。
(なまえ)
あなた
わ、私だよ………。
あなたは気まずそうに顔を伏せた。

僕の質問にもハッキリ答えず口籠る。

あなたが黙って意識が別次元に行っている

隙にカーテンを勢い良く開けた。
まふまふ
まふまふ
えいっ!………え?
カーテンから顔しか出してなかったので

分からなかったが、あなたはカフェで使う

メイド服を着ていた。

僕は見惚れて固まってしまった。

……可愛すぎでしょ。


そしてあなたは焦っていた。

しばらくして言い訳を始めたかと思ったら

慌ててカーテンを閉めようとする。

僕は咄嗟にその手を掴んだ。
まふまふ
まふまふ
……待って。
(なまえ)
あなた
な、何?
まふまふ
まふまふ
すごく似合ってるよ、それ。
あなたがあまりにも自虐するもんだから

どうにかそんなことないと言いたくて

褒めようとしたが、メイド服を着たあなたが

可愛すぎて目を逸らしてしまう。

少しそっぽを向いて照れながら言った。
(なまえ)
あなた
嘘。まーたそんなこと言って……。
着といて何だけど私には
似合わなすぎだよ、こんな可愛い服。
私には裏方の服がお似合いだって。
あなたはまた自虐の混じった謙遜をする。

僕は少しムキになってあなたに詰め寄る。

もっと自分に自信を持っていーのに。
まふまふ
まふまふ
似合わないって思ってるのに
着たってことは好きなんでしょ?
そーゆー服。
(なまえ)
あなた
え、いや〜それは……。
まふまふ
まふまふ
いいじゃん、好きなものを着たって。
それにあなたが何と言おうと
僕から見たら可愛い以外の
何でもないし。
僕はあなたに自分の可愛さを分からせたくて

普段は言えないような恥ずかしいことを

サラッと言ってみた。

するとあなたは分かりやすく顔を赤くした。
(なまえ)
あなた
ま、またそんなこと言って………
どーしてまふまふ君はそんなに
私を褒めてくれるの?
あなたに見つめられる。

僕があなたを褒める理由?

そんなの1つしかないじゃん。

僕はあなたに更に近づいた。
(なまえ)
あなた
え、ちょっ……。
まふまふ
まふまふ
僕があなたを好きだから。
(なまえ)
あなた
え………?
あなたはかなり驚いて目を見開いている。
まふまふ
まふまふ
1回振られたからって諦めてないよ。
友達から恋人に、なりたい。
そして僕はあなたの目を真っ直ぐ見て
まふまふ
まふまふ
僕と、付き合ってくれませんか?
あなたは考え込む。

今答えを出すのは無理かな……。

僕はあなたに提案をした。

後夜祭に答えを聞かせてほしいと。

そしてこの空気で一緒には

帰れないだろうと思って1人で教室を出た。


クラスの接客担当の女子より

あなたの方が何倍も可愛いし、

似合ってるのになー。

あなたのメイド服姿を思い出して

ちょっとにやけて帰った。

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