第9話

演劇部の事情②
743
2020/09/11 12:07
あなた

つ、つか、れた……

ジェル
おー、よくここまでついてきたなー
あなた

ジェル…お前、許すまじ…

ジェル
え、なんで俺恨み買ったん?
大道具を作ったりする裏方の手伝いで入った私だが、どうやら基礎練は全員強制参加のようで。
さらに荷物とかも結構重くて、重労働だった。
あなた

(まあ、それだけならまだいいんだけどね……)

本当の問題は____





モブ1
いやーーーー!ジェル様こっちむいてーーー!
モブ2
いやああああ!莉犬君かっこかわいいいいいい!
…このギャラリーの方々だ。
正直、うるさい・気が散る・邪魔
という三点セットが揃っている。
あなた

(まあかっこいいのはわからんくもないけど…)

男子に興味がない私でも、とてもかっこいい演技だったと思う。
だからって、気を散らすことは許されないと思うが。
莉犬
こんな調子だから裏方の人がやめてっちゃって…足りなくなってたんだよね
なるほど。これは私もやめるかもだな。
あなた

…これが原因で私は駆り出されたわけ?

ジェル
いや、これだけじゃなくてな……
???
あ、ジェルーーーー!
そういったジェルにまっすぐ走りこむ誰か。
ジェル
うわ、見上みかみ……
飛びこんでくんなや、いたいやろ
見上亜莉沙
いーじゃん。
どうせ彼女とかいるんでしょ?
…誰?
莉犬
あー、この人は見上亜莉沙みかみありささん。なんか、ジェルと同じクラスらしいよ
莉犬
仲がいいかは置いといて
んまあ確かに。
仲がいいとは、限らなさそう。
莉犬
この人、ギャラリーどけてくれるのはいいんだけど……
莉犬
ジェル君に気があるらしくてねえ
あなた

あー

なんか察した。
ってかあの人……
どっかで見たことある気が…
莉犬
今日は帰ってて!後でまた連絡いれるね!
あなた

う、うん…じゃあね、莉犬君!

何か大変なものを感じた、そんな放課後だった。
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家に帰って部屋着に着替え、ベットでスマホをいじっていると、ラインが来た。
見ると…
あなた

(あれ?うらたくん?)

あなた

(珍しいな…どうしたんだろう?)

気になって開くと…
うらたぬき
『明日空いてる?』
といういかにも暇そうなライン。
あなた

『暇だけど…何?』

うらたぬき
『明日さ、俺んちこねえ?』
何故!?!!?
あなた

(しかも唐突だな!!!)

明日は今日の映画の録画を見る予定なのに!
あなた

『なんで?』

うらたぬき
『いや新曲あげたいんだけど』
うらたぬき
『MVで悩んでてさ』
てめえでやれや。
でも明日はころんもさとみも部活で帰りが遅い。
行くのは絶好のチャンスだったりする。
うらたぬき
『メンバーは俺と坂田と……』
あなた

『行く』

シュポポポ、と手が勝手に動いた。
あなた

なにしてんの?え?
あなた

え、行くの?まじ行くの?

なに坂田くんにつられてんのよ!!!
うらたぬき
『んじゃ、4時に俺の最寄り駅来て』
うらたぬき
『迎えに行くわ』
うらたくんの返信にさらに気をおとした私だった。
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ジェル
名前・ジェル
誕生日・7月28日
歳・高校二年生
大阪出身のエンターテイナー。演劇部のエースで女子から大人気。

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