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救急車に乗ったあとの記憶はほぼないんだ。
ただ。ただ。あなたの手を握りしめていた。
それはあなたの為だったのか?
きっと自分を落ち着かせるためだったのだろう。
君は救急車の中で眠っていても美しさを失わない。
そんな風に俺の目にうつっているのに気づいた時
もうひとつの事に気がついた。
いつしか俺はあなたに恋していたことを。
この時、思ったことを覚えている。
俺があなたを守る。と。
そう思った時、あなたの手を強く握りなおした。
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次目を覚ました時、まだあなたは眠っていた。
俺はこんなにあなたに辛い思いをさせた
罪のつぐないをしたかったんだ。
だから、紙1枚を置いて警察署に行った。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。