第6話

Diaryー6ー
27
2021/08/14 10:00
ここは…夢、ではなく翔くんの家。

私は今彼の家に来ています。

太宰 花菜<ダザイ カナ>
一葉ちゃん?
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
あ、ごめん、何…かな?
隣に座っていた花菜ちゃん(好きな食べ物はケーキ、今現在クラスメイトに気になる男の子がいる)に話しかけられて初めて、私は現実に引き戻された。

あ、ちなみに好きな食べ物とか、好きな子の話は花菜ちゃん本人情報ですから!

太宰 花菜<ダザイ カナ>
ねえ、一葉ちゃん。
ニヤリと笑った花菜ちゃんは、驚く続きを口にする。

太宰 花菜<ダザイ カナ>
お兄ちゃんの部屋、行きたくない?
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
え!?
翔くんの部屋?

言い忘れてたけど翔くんは、10分程前にお母さんに買い物を頼まれてスーパーに行ってしまった。

つまり、今この家には私と花菜ちゃんだけであって…

いや、でも部屋はダメでしょう。
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
お、お兄ちゃんに怒られちゃうよ…?
太宰 花菜<ダザイ カナ>
だいじょーぶ! 
ほら、行こいこ!

ぐいぐいと手を引かれ、ほとんど引きずられるように階段を登って左側。

そこに翔くんの部屋はあった。
太宰 花菜<ダザイ カナ>
お兄ちゃんには、内緒ね?
花菜ちゃんはガチャりとドアを開ける。

罪悪感はまだ残ってたけど、好奇心が勝ってしまった。
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
失礼します…
部屋に入ると、右側には本棚。

その中身を見て、私はくらりと目眩がした。

え…なに、これ…

暫く立ち尽くしていると、階下からドタドタと慌てたような足音がした。

その足音は、こちらへ近づいてきて…
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
花菜!
珍しく焦ったような顔をして、翔くんが部屋に入ってきた。
太宰 花菜<ダザイ カナ>
あ、お兄ちゃん…
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
勝手に入るなって。
何度も言ってるだろ。
太宰 花菜<ダザイ カナ>
ごめんなさい…
花菜ちゃんが謝ると、翔くんは浅くため息を着いたあとしゃがみこんで、その頭を撫でた。

芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
あ、私もごめんね…
私も慌てて謝ると、翔くんは首を横に振った。
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
いや、大丈夫だよ。
…下に行こうか。
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
そう、だね
何となく言葉少なに下におりる。

1階に下りた頃には、翔くんも笑みを浮かべていて、私は安心する。


そのあとは何事も無かったように夕方まで時間を過ごして、私はお暇することにした。

芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
じゃあ、私そろそろ帰るね。
今日は本当にありがとう。
太宰 花菜<ダザイ カナ>
もう帰っちゃうの?
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
花菜ー、一葉ちゃん困ってるから。
太宰 花菜<ダザイ カナ>
また、来てくれる…?
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
うーん…
そう言って翔くんをちらりと見ると、翔くんはにこりと笑って頷いた。
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
じゃあ、また来るね。
太宰 花菜<ダザイ カナ>
やったぁ!
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
花菜ちゃん、翔くん、またね。
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
あ、送るよ。
翔くんがそう言ってくれたので、お言葉に甘えて駅まで送ってもらうことにした。
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
一葉ちゃん。

駅までの道すがら。

唐突に翔くんに話しかけられた。
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
なに?
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
今日は、ありがとう!
花菜、喜んでたから。
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
こちらこそ。
私も楽しかったよ。
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
俺も、楽しかった。

向けられた笑顔に心臓が大きな音を立てる。

いつの間にか、駅に着いてしまっていた。
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
じゃあ、またね。
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
また学校でね!
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
…うん!

私はふわふわと夢心地で、電車に乗り込んだ。

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