第14話

Diaryー14ー
39
2021/10/09 05:00
なんでこんなことになっちゃったんだろう…

そう思いながらちらりと横を見上げる。

翔くんは校門を出てから──いや、図書室を出てから一言も発していなかった。

これって私から声をかけるべき?
いや、でもなんて声をかければいいの…!


とりあえず近づいてきたテストの話でもしようか。
そう思って口を開きかけたその時、翔くんがこちらを見た。
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
一葉ちゃん。
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
な、なに?
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
なんで俺の事避けてたの?
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
そ、れは……えっと、何となく?
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
嘘つくんだったら帰さないから。

やっぱり今日の翔くんは変だ。



芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
えっと…翔くん、私なんかと一緒にいていいのかな、って思ったから…。

嘘じゃない…はず!

だってそう思ってるもん!

私の言葉を聞いた翔くんはぽかんと口を開けて私を見ていた。
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
翔…くん?
心配になって身を乗り出して翔くんの瞳を覗こうとすると、翔くんは笑い出した。
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
ははは、今更だよ。
俺は、俺が一緒に居たい人と一緒に居る。
俺は、一葉ちゃんがいいんだ。
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
えっと…

ふと、空気が変わる。

翔くんが笑みを消して私に何かを言おうとした時、後ろから声が聞こえた。
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
翔っ!

聞こえた声と同時に走る足音がどんどん大きくなって、私の横を通過する。

その声の主は、勢いそのまま、翔くんに抱きついた。
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
久しぶりだね、翔!
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
栞…?
ちょ、離れろって…

無理やり引き剥がされた女の子は「むぅ」と不貞腐れながら、渋々翔くんから離れた。
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
帰ってきたの?栞。

栞さんって言うんだ……

それにしても、すっごく綺麗な子。

小さな顔に、ぱっちりとした二重の瞳。
鮮やかな桃色の唇と、すっとした鼻だち。

完璧と形容するにふさわしい女の子だった。
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
両親に無理言って帰ってきちゃった。
もちろん、翔のためだよ!

目を白黒させている私を他所に栞さんは話し続けている。
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
私、今度翔の学校に転校するんだ!
またよろしくね!

にっこりと笑った栞さんの目の前で翔くんが我を取り戻したようにハッとして、言葉を挟む。
太宰  翔<ダザイ  カケル>
太宰 翔<ダザイ カケル>
そうなんだ。
またよろしくな。
…じゃあ、もう行くから。
そう言って私にアイコンタクトをして歩き始めた翔くんの腕を栞さんは掴む。
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
一緒に帰ろーよー。
ってか、その子誰?
栞さんの綺麗な目が私を捉える。

なんか、睨まれてるって思うのは流石に被害妄想…?
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
は、初めまして。
芥川、一葉です…
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
芥川一葉…ふうん。

先にいる翔くんに聞こえないくらいの小さい声で栞さんは呟いたと思ったら、一瞬後には私に笑いかけていた。
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
花崎 栞<ハナサキ シオリ>
芥川ちゃん、これからよろしくね?
芥川  一葉<アクタガワ  カズハ>
芥川 一葉<アクタガワ カズハ>
は、はい…

なんか、新キャラ登場…


波乱の展開が待ち受けているに違いない。

そう思った帰り道だった。

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