学校へ着いた私は、とんでもない事実に気がついた。
うちの学校は、定期的にクラス単位で図書室の貸し出し当番が回ってくる。
そして、1週間〜2週間に1回、委員会も。
委員長、副委員長は、早めに行って今日の議題やホワイトボードの準備をしなければならない…つまり、めちゃめちゃ翔くんと一緒にいなければ行けないわけで。
そっと溜め息をついた時、よりにもよって1番会いたくない人に声をかけられた。
ヤバい、いつにも増して目が合わせられない。
翔くんは特に疑う様子もなく話を続けた。
こういう時は本を読むに限る。
強引に自分を納得させて、私は引き出しから本を取り出した。
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昼休み
翔くんの話を最後まで聞く前に、私は話を打ち切って、教室を出る。
翔くんのぽかんとした顔を見て申し訳なさを感じながら、嘘をついた手前行かない訳にもいかなくなったトイレへ向かった。
5分後。
小走りで図書室に入ると、翔くんは忙しそうに返却された蔵書の整理を行っていた。
返却された蔵書の整理をしている翔くんを追い抜き、私は多くの生徒が待つカウンターに向かった。
結局バタバタとしたまま昼休みは終わってしまった。
私はほっと溜め息をつきながら、鍵を閉める。
不審そうな翔くんの曖昧な相槌を背中に聞き、私は職員室へ走った。
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ついに来てしまった放課後。
つまり、委員会。
私は憂鬱な気分を抱え、再び図書室へ歩いていた。
委員長以外の生徒はまだ来ない。
副委員長を除いて。
1回、息を吐く。
出来れば顔を見ないように済みますようにと願いながら、私は戸を開けた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。