『えっ…あっ、その…』
チラチラと渡辺くんを見ながら言葉を探すけれど
そもそも、学校に来てしまっている時点で
誤魔化すことが出来ないのは分かりきっている
渡「ふっか迎えに来たんだろ?」
『あ…』
察しが良すぎて苦笑いするしか無かった
渡「はぁ…今日も休みだけど」
『…うそ』
渡「…って俺が言ったらお前は帰んの?」
『え、?』
話がごっちゃになって先が見えない
『う、うん…帰るけど、』
渡辺くんが話す時の目が怖くて焦っていると
学校の玄関から見慣れたシルエットが現れた
それにすぐ気づいてしまった私は溺れている
マスクをしながら小走りでこちらへ向かっている彼を目で追っていると、
渡「俺には少しの時間すらくれなかったのに、不平
等だな」
もうどんだけ謝っても、渡辺くんをもっと嫌な気持ちにさせてしまうだけだとわかった
だったらもう、事を綺麗に解決しようなんて
無理なのかもしれない
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。