//【道化怪盗スタンチク】を誘う
道化怪盗スタンチクがいいかな。
ミステリアスな男って、キライじゃないわ。

Oui, お姫さまのおおせのままに。

さて‥‥謎が多いツィルクの団員が、本当に釣れるかな。
――怪盗団『ツィルク』のアジト。

おい、ペテン師野郎は?

‥‥スタンチクの匂い、どこにもしない。

あぁん!? これから狩りだってのに、どこ行きやがったんだよ。

ここにいないなら、他の場所‥‥だと思う。

‥‥お前に聞いたオレがバカだった。

なぁ団長! スタンチクの野郎、どこに行ったんすか?

ああ。スタンチクは、さっき『怪盗連盟』のお願いで旅に出たよ。

パリで探しものをするんだと。

アレはだいぶ気まぐれだからな。まぁ、飽きたら帰ってくるだろう。
――真夜中。眠っていた私は、ふいに誰かの気配に目が覚めた。
(‥‥‥‥誰か、いる?)

ごめんね、起こしちゃった?
窓辺に座っていた男に、心臓が跳ねる。
あなたは‥‥道化怪盗?

さぁ、どうだろう? ボクは探しものを探し続けている、迷い人だよ。

ボクの探しものは、キミかい?
‥‥質問に質問で返すなんて、ずるい人。

いいじゃない。駆け引きはキライじゃないでしょ?

でも今夜はキミの顔を見にきただけだから。駆け引きの続きは、また今度。
ちょっと‥‥!
ふいに強い風が吹き、私は思わず目を閉じる。
目を開ければスタンチクの姿はなく、カーテンが風に揺れていた。
(夢‥‥じゃないわよね? 不思議な人‥‥)
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