高校2年のゴールデンウィーク。
母が言った言葉に私は思わず大声を上げた。
母いわく、私の幼なじみの“慶ちゃん”が明日からうちで暮らすことになるという。
慶ちゃんと私は同い年の幼なじみで生まれたときからずっと仲良しだった。
小学校3年生に上がる前にご両親のお仕事の都合でアメリカに引っ越してしまった。
そのときは3日くらい泣きまくった。
今思うと淡い初恋だったんだと思う。
慶ちゃんは日本で大学に進学して就職したいらしく、そのために単身で日本に戻ってくるらしい。
で、一人暮らしは心細いだろうから、、、と母が提案したらしい(笑)
まぁ、お父さんは数年前に亡くなってしまったし、お姉ちゃんは大学生になって一人暮らし。案外広いこの家。部屋は余っている。
母は若干天然。
まぁ、そのおかげで楽しいからいいんだけど。
こうして、強引に新しい生活が始まろうとしていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!