第30話

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2019/07/15 05:11
アナウンサー
ご覧下さい!鈴木邸を囲むこの警備員、怪盗キッドの襲来が濃厚になり、機動隊がぞくぞくと集結しています。この大規模の警備の中、果たしてキッドは予告通りやってくるのでしょうか?
中森警部
来る!
奴は必ずやって来る
中森警部
あの忌々しい不敵な笑みをひっさげて
次郎吉
偽物相手に大騒ぎしおって
中森警部
本物だよ、確かに最初の予告状は奴のマークも文章もパチモンくさかったが、恐らくあれは、わしら警察をおちょくるただのシャレ、しかし、金庫のあるこの部屋に置かれていたこの予告状は紛れもなく奴の予告状だ!これで偽物って言っているあんたの方がおかしいだろ
次郎吉
まぁ、そうじゃとしても、この大袈裟な警備は無用じゃよ。忘れたか、キャツが狙っているのは、伝説のカラクリ師、三水吉右衛門がこしらえた難攻不落の大金庫、鉄たぬきの扉を開けることじゃ
次郎吉
不埒な輩を退治する仕掛けが無数に張り巡らされており、唯一開け方を知るわしでさえ、偶に誤って命を落としそうになるくらいの物じゃ
次郎吉
開けられるわけなかろう
中森警部
だが、相手はあの月下の奇術師怪盗キッドだぞ!たとえどんな金庫だろうが奴にかかればあっという間に…
次郎吉
万が一、キャツにそのチャンスがあったとしても近づけやせんよ。見せたじゃろう、この部屋の防犯装置を、キャツが部屋に1歩でも足を踏み入れたら最後、床に埋め込んだ重量センサーが作動し、たちまち鉄柵に囲まれて袋の鼠じゃわい
中森警部
しかしね、現にキッドはこの予告状を部屋の中に置いているじゃないか!奴は用意してんだよ。ここの装置を掻い潜る方法を
コナン
てことはさ、怪盗キッドがその予告状を置いたとき、僕達の傍にいたってことだよね
中森警部
えぇっ
美夜
だって、最初にこの扉を開けたときには何も無かったのに、次に開けたときは予告状があったのよね。その間、私たちはずっとこの部屋のいましたよ。
小五郎
その重量センサーって、スイッチを切っているときに置かれた物なら、スイッチを入れても反応しないんすか?
次郎吉
ああ、スイッチを入れたときの状態から重さがかかれば反応する仕組みじゃからの
小五郎
となると、スイッチを切ったときに置いたってことか
園子
そう言えば、おじ様あのときスイッチ切ってたわよね。
そぉそぉ、私たちに重量センサーの性能見せるために部屋の中にタバコを投げ入れて、檻が締まり、そのタバコを回収するために阿須久さんが中に取りに行ったわよね
園子
ああー、あの阿須久って人、部屋に入って拾ってた!
中森警部
あの野郎がキッドだったか
タバコを拾う振りをして、まんまと予告状を置きやがったな!
コナン
でも、置けるのは阿須久さんだけじゃないと思うよ
ずっと次郎吉おじさんの後ろにいたボディーガードさんもおじさんが後ろを向いた隙に入れられるし、雇われて今日ここに来たって言うメイドさんにもできるんじゃない?犬を探してしゃがんでキョロキョロしてたって言ってたから
小五郎
でも、彼女はスイッチを切ったときに扉の傍にいなかったんじゃねぇか?
コナン
うん、僕達が防犯装置を見せて貰ったその扉にはね。でも、金庫のあるこの部屋には、ほら、もう1つ扉があるよ!
コナン
もしメイドさんがキッドなら、警部の人の隙を見て、扉の下から予告状を入れられるんじゃないかな?
園子
そうね、あのときおじ様は大声で指示してたから
声は届いてたかも!
美夜
さすがコナン君!よく思いついたね
小五郎
あっちにいてもスイッチを切られたのを知ることは出来たと言うことか
コナン
それに、3人ともつい最近雇われたみたいだからね
小五郎
つまり、キッドが変装してここに呼び込んできた可能性が高いって事だな
中森警部
よぉし、その阿須久って男とメイドをここに連れて来い
顔を思い切り引っ張って、変装してるかどうか確かめてやる
小五郎
まずはボディーガードさん、あんたから…
次郎吉
ならぬ!
わしが雇ったものは、その時点で家族同然じゃ、警察と言えど勝手な振る舞いは許さんぞ!
中森警部
あ、いや、しかしね…
次郎吉
どうしてもと言うなら、キッドだという証をわしに見せてからせ!
次郎吉
とにかく、わしは今から部屋で食事を取る、あまり大騒ぎするでないぞ
中森警部
くっそー、顔を引張りゃすぐ分かるのに…
園子
なんか変よねおじ様
えっ、
美夜
確かにね
園子
だって、いつもは「あのこそ泥に目に物見せててくれようぞ」的な言ってんのに、今回は偽物だからほっとけとか証拠がないなら調べるなとか、もしかして、おじ様がキッド様!
まさか
美夜
どうだろうね
美夜
(新一、悩んでるわね。そろそろ分かるかしら)
メイド
ねぇ、怪盗キッド、見つかった?
あぁ、この廊下通らない方がいいですよ
メイド
えっ、どうしてですか?
園子
メイドさん、キッドかもって疑われてるから
メイド
えぇー
園子
このガキンチョのせいでね
コナン
えへへ
メイド
困ったな、この食事旦那様のお部屋にお届けしろって言われてるのに…
美夜
次郎吉さんに?
メイド
ええ、私は来たばかりなので知りませんでしたけど、最近夕食だけご自分の部屋で1人で取ってらっしゃるみたいで…あと、食器を下げるときになせがいつもお皿が2枚足りなくなっているみたいで
園子
お皿が、なんで?
メイド
さあ?
阿須久
変なのは食事やお皿だけじゃないみたいですよ。その食事のあと、金庫室に入って、金庫のチェックをされるらしいんですが、その時、必ず杖を持たれるようになったと聞きましたけど…
園子
あの元気すぎて困るぐらいのおじ様が!?
阿須久
はい
小五郎
多分、その杖とかさっきの皿を使わなきゃ、金庫が開かない仕組みになってんだよ。いくらタバコ1本分の重さでも反応する防犯装置に守られるっても、金庫自体が簡単に開いちゃ、話になんねぇからな
阿須久
瀬戸さん
メイド
はい
阿須久
先程、内線が入って…
小五郎
阿須久さん、悪いがちょっとタバコを買ってきてくんねぇか?
阿須久
分かりました
先程旦那様から内線が入って、夕食はまだかと
メイド
あぁ!!!
かしこまりました!
直ぐに
メイドさんがすぎに次郎吉さんの部屋へ行こうとすると、小五郎さんにぶつかって、小五郎さんが持っていた小銭を落とし、水がこぼれ、小五郎がびしょ濡れに
メイド
すみません!
次郎吉
これ、何をやっておる!食器を早く持ってこんか!
メイド
はい、ただいま
メイドさんは濡れた小銭をタオルで拭きました
メイド
ビショビショになっちゃいましたけど
小五郎
いやいや、
次郎吉
秘書といい、メイドといい、使えん奴ばかり雇いおって
次郎吉
使えるのは、ボディーガードのこやつだけじゃ
メイド
あの、御用とはなんでしょうか?
次郎吉
用?
メイド
あれ、仰ってませんでした?夕食を運んだついでに、手を貸してくれって
次郎吉
おぉ、あぁそうじゃった!
次郎吉
まずは部屋に行ってからじゃ
美夜
(快斗はさすがの演技ね。私が扱いた甲斐があったわね。さて、ここからが見ものね)

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