第3話

喘息×S.S (3)
4,410
2020/03/11 12:56
健人Side



息を切らせながら走り、ようやくシェアハウスに辿り着いた。
大きくて重い扉を開き、玄関に転がりこむ。
その衝動で、勝利が俺の背中からずり落ちて
どさりとフローリングに倒れ込んだ。



ごめん!勝利 !!
って言いたいけど、さすがに息が切れてるし言えない。てか、言ってる場合じゃなかった。


ぜぇぜぇと苦しそうな呼吸をしながら、冷たい床に倒れ込む勝利。髪から滴る水滴が、どんどん床をぬらしていく。


バタバタと靴を脱いで風呂場へ走る。バスタオルを掴んでまた玄関へ。


「勝利!身体起こすぞ。よし。
もううちについたからな!ゆっくり。ゆっくり息して。ほら!落ち着けー。」



一番落ち着いてないのは俺だった。


「ごほごほ!はぁっ.....はぁっ......げほ!....はぁっ......ぜぇぜぇ...........」



バスタオルで、冷たくなった身体を包みながら懸命に背中をさすった。


息ができず、苦しそうな勝利の顔が、だんだん上を向いてきた。


「ひぃっ!ひぃっ!......ひぃっ!」



まずい。さすがにこれはまずい。


「勝利!!!おい!!しっかり息しろ!!」


声をかけながら、片手でかばんをあさり、スマホを手に取る。もう自分だけの力じゃ無理だ。



電話帳を開こうとしたその時。



「えっ。何してんの。寝てろって..i」



玄関の扉を開き、驚いた顔をしてる風磨がいた。

いいタイミングで帰ってきた。



風磨は、持っていたバッグやスマホを放り出して駆け寄り、俺のあやふやな説明で状況を理解。咄嗟の判断で救急車を呼ぶことにした。



勝利の、氷のように冷たい手を握りしめながら、病院へ向かう救急車に乗っていた。



細い身体はひょいひょいと持ち上げられ、ストレッチャーに乗せられ、病院内の大きな扉の向こうに消えていった。



「おまえも体調、わりぃんだろ..?座っとけって。」



「ああ..........」




「中島?」




風磨が声をかけてきたが、完全に放心状態だった。










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