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第4話

喘息×S.S (4)
4,722
2020/03/11 13:08
健人Side



しばらく経って。


「佐藤さんのお連れの方ー」



座っていた皮のソファーから立ち上がり、案内された方へ歩き出す。

足が重かった。心配しすぎて、疲れていた。
頭痛のほうも正直、限界で...




小さな個室の白いベッドの上に、ぽつりと寝かされていた勝利。

なんだか、腕やら胸から管が何本も出てきていて、不安が募った。



命に別状はないが、症状が酷かったため、4日の入院が決定したことを医者は告げ、部屋を去っていった。



目の前がぐにゃっと歪んで、膝の力がフッと抜けた。



「っと!あぶね...........座れよ早く。フラフラしてるぞ。大丈夫か...?」



菊池が支えてくれた。



「いや......マジビビった......。俺、恐怖で死にそうだったわ.......」



「ははっ。めずらし。てか、死にそうだったのは勝利だろ。おまえがいなかったら、こいつ死んでたかもな.......ほんとに。」



「菊池..少しの間、寝てもいい...?」



「うん。休みな...。お前まで倒れたら困る。」












その後、聡とマリウスにも連絡し、全員が病室に集合した。



入院中の荷物を整理していると。



「あ!勝利くん起きた!」



「マリウス声でかい!ここ病院!」



すかさず聡のツッコミが入る。



「..........あ............」



「ここ病院。もう苦しくない?」



俺の問い掛けに対して、わずかに頷いた。




先生を呼んできて、状態を見てもらい、酸素マスクが外された。




再び五人になって聞いた話。




走って帰っていると、寒気と息苦しさに襲われ、動けなくなったこと。それでもなんとか公園に辿り着いたが、指が震えてスマホの操作が難しく、どんどん時間が過ぎていった。

やっと俺に連絡がついた頃は、苦しすぎて記憶が曖昧で。

ずっと誰かの声は聞こえてたけど、救急車に乗ったことなどは覚えていないらしい。




入院一日目の夜に発熱した勝利だったが、その後は順調に回復。
無事に退院することができた。


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勝利Side

数週間後。

「あ、止んでる。」



電車から降りた俺は、しっかり持ってきていた傘を握りしめた。さきほどまで降っていた雨はもう止んでいる。





「わ.............すげー............」



改札を抜けた俺は、思わず声をあげた。





山の向こう側で、俺を待ち構えていたのは、





鮮やかな七色の虹だった。









END









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