第2話

喘息×S.S (2)
4,876
2020/03/11 12:43

健人Side



今日は俺だけ仕事が休みだった。

俺以外、みんな仕事に行ってる。


いつもなら、掃除したり恋愛ドラマ見たりするんだけど...
今日は朝から偏頭痛が酷くて、
薬を飲んでソファーで休んでる。











夕方...

頭が痛いとはいえ、一日中休みだったんだから皆のご飯作ろうかな...
でもまっちゃんとマリウスは夜ご飯食べてくるって言ってたしな...


作るとしたら菊池と俺と勝利の3人分か...



冷蔵庫にある食材で出来るものを、テレビを見ながら考えていた。その時。



ぴりりりり♪



スマホが鳴った。画面には、勝利 と表示されている。何の用だろ........




「ん?どしたー?」




「..........はぁっ.........はぁっ..........ひゅーーーっ」




??????

なに?聞こえてくるのは、雨の音と怪しい呼吸音。いたずら電話かと思ったけど、よく頭を整理した。




「勝利.......?だよね?どした?今どこ。なんかあったの?」



「.....ひゅっ......け....ん.....はっ.....はっ.....ひゅー....ひゅー........ごほごほっ!...はや.....く.....げほ!」





俺は自分が頭痛いことも忘れ、ソファーに置いてあった黒いパーカーを掴んで家を飛び出した。



スマホは通話状態のまま、耳にあてながら走っていたけど、聞こえるのは苦しそうな呼吸音だけ。
勝利がいつも通っているはずの駅までの道を走る。


自分の場所も状況も説明できないくらいの状態だった。

まずいかもしれない...........


慌てすぎて傘を忘れてきた。髪がぬれていく。


人が全然通らない住宅街を、ひたすら走る。








小さな、ぼろい公園を通りすぎようとして足を止める。入口近くの、屋根がついた机と椅子のところに彼はいた。



「勝利!!!」




スマホを握りしめたままの腕と頭をグッタリと机に預け、全身を震わせながら呼吸をしていた。
びしょぬれの制服にパーカーをかける。


肩を揺らしながら名前を呼ぶが、目を開けない。
顔が真っ青だった。



「....ひゅーーーっ..ひゅーーーっ......け...ひゅっ.........と.....ひゅっ....ひゅっ...く...ん.....ひゅーーーっ」


もうまともにできていない呼吸の間に、俺の名前を呼ぶ。

俺のスマホと勝利のスマホを、椅子に置いてあったかばんにぶち込んで、冷たい身体をなんとかおんぶした。


力を振り絞って、今走ってきた道を戻る。



背中にいる勝利の息が、今にも止まりそうで怖かった。

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