貴side
慶「御免ー」
「はいはい」
出てきたのは、
意地汚そうな笑顔を張り付けた老爺で
ここの主人か?
老爺「いらっしゃいませ旦那様方」
猫なで声が耳に障る
正直、俺はこういう人が苦手だ
後に商売人になる者としては、失格だと思うが
こればかりは致し方が無い
慶「少々、酒でも呑みたいんだが」
老爺「はぁ…此処までいらっしゃって、お酒だけで宜しいんですか」
慶「あぁ、このような処はあまり来たことが無くてな」
老爺「そうでございましたか。勿論、色子達と楽しく酌み交わすことは出来ますが」
老爺「そう言っていたお客様も、殆どのお方が…ねぇ」
老爺はそう言ってニヤリと笑う
慶「はいはい、承知したよ」
慶は誰とでも打ち解けることができる
打ち解けるふりかもしれないが
しかし、愛される所以は其処だろう
老爺「旦那様方、御運が宜しいことで…一番人気の色子と二番人気の色子が只今空いておりますがねぇ」
慶「あぁ、誰でも良いよ」
老爺「ではそちらに致します…」
あー、早くこの老爺から離れたい
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。