第5話

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2018/06/13 13:19
慶side 




腰の曲がった老爺に案内されるままに



陰間茶屋の中をあるく







かなり長い廊下で




所々に障子が閉めきられた部屋があり






其の中からは忍び笑いやまぐわいの声などが微かに響く









貴は大丈夫だろうか



このような処の経験はあまり無い筈だ






振り返ってみると、少し俯き加減で歩く貴が居る








誘っちまって悪かったかな…









永い永い廊下を歩き続け




物珍しさも薄れ退屈しかけた時






老爺「長々と失礼しました、此処でお待ち下さいねぇ」




老爺「そのうち<紅梅>と<常磐>がお邪魔致しますから、どうぞお楽しみ下さい…」




嫌な笑い方をして老爺は去っていった









慶「…貴?大丈夫か?」




貴「あぁ…」





慶「すまないな、このような処は慣れないよな」





貴「大丈夫だよ」






少し無理した笑顔を向けられる







すまない、でも、どうしても逢いたい人がいるんだ




あの満月の夜




この陰間茶屋のある通りを散歩していたとき









俺は出逢ってしまったんだ





障子を開け放ち、月を見上げる



不思議な髪の色をしたそいつに









その儚い雰囲気を纏わせるそいつのことが頭から離れないんだ








もう一度だけで良い、すぐに逢えなくても構わない






一目で良いから、そいつに逢いたくて…









すまない、俺の我儘を許してくれ、貴…?

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