第17話

そして今
98
2018/06/24 08:05
ザザァン…     ザザザァン……
陽向がこの世を去ってしまってから約5年が経った今。
俺は陽向と出会った海に来ていた。




大学4年生となった今だけれど、陽向のことを一度たりとも忘れたことはなかった。









太陽のように輝く君のその笑顔は。

たくさんの人を幸せにできるのに…



たくさんの人を笑顔にできるのに…





俺はあの時のことを思い出し、涙がこぼれ落ちそうになった────
























???
………翔…君……?





















誰かが俺の名を呼んだ。






…陽葵さん……!
陽葵さんと陽太さん、陽介の長谷川兄弟が揃っていた。
陽葵
……久しぶりだねー!翔君!
陽葵さんはそう言いながら俺に近づき、バンバンと背中を叩いた。
3人ともあの時よりもさらに大人っぽくなっている。
特に陽介なんかは20cmぐらいは身長が伸びているんじゃないかと思う。

俺と同じぐらいの高さだ。
…陽介。お前、めっちゃ身長伸びたなー!
陽介
…お久しぶりです!翔さん!
そう答える陽介の声もすっかり声変わりをしたようでかなり低くなっていた。
コロコロと表情を変えるようになった陽介達と話をしていると、おもむろに陽太さんが口を開いた。
陽太
…翔君…
陽太さん…どうしました?
陽太
実は…だな…
陽太さんはポケットをゴソゴソと探った。

そして、一通の手紙を取り出した。
それを俺の目の前に差し出す。





そこには────










────っ!





















“翔君へ”という宛名が書かれていた。









陽太
辛い思い出になるようで悪いんだが…聞いてほしい…
陽太
陽向の遺品を整理しようとして色々と荷物を片付けていたんだ…陽向が亡くなったあの病室も整理していたら……引き出しの中から…これが見つかったんだ…
陽太
見た瞬間分かったよ…翔君にしか見せたくない大切な想いがこの手紙に詰まっているって…
陽太
俺たちは何度も何度もこの海を訪ねにきた。…いつか翔君にで会えると思って…
…そう、だったんですね…すいません…もっと早く来ていれば…
陽太
いや…そんなことはいいんだ…今年出会えて…良かったよ…
そして陽太さんは俺の手を握り、手紙を俺の手に握らせる。
陽太
今さらだけど…陽向の想いを受け取ってほしい。
…はい……
俺は手紙を受け取ると封筒を開け、中身を開いた。













そこに書いてあったのは────────

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