第13話

告白
89
2018/06/21 08:50
翔side


花火が終わる少し前のこと。


俺は、足を怪我した陽向をおぶって人気が少なく花火がよく見える場所に向かっていた。

…陽向…?怪我させちまって…本当にごめん…
陽向
…だっ大丈夫っ!さっきも言ったけどっ…き、気にしないで!
陽向
むしろ…
陽向は、俺の首にかける手に力を込めた。
陽向
…怪しい人達から……守ってくれて…………ありがとう…
優しい声で、そうささやくもんだから、俺の耳は真っ赤になってしまった。





…まぁ、暗闇にまぎれて陽向には見えていないようだからいいんだが…
陽向
…翔君……
!な…なんだ?
陽向の方から話しかけてくるなんて珍しかったから声が裏返ってしまった。
陽向
…み…3つほど…しっ質問させて……ください…
え?あ、うん
何を言われるのかとついドキドキしてしまった。
陽向
…じゃあ…ひ、一つ目。なんで…あそこにいると分かって…も…戻って来てくれたの…?
そっ!れは…陽向の声が聞こえたんだよ…“助けて、翔君”って…それで助けに行かないとか…男として恥だろ?
陽向
そ…そっか…////
俺の首に息が当たった。





……ホッとしているのか…?





俺が考えを巡らせていると、陽向は次の質問に移った。
陽向
…次…ふ、二つ目。あんなに…つっ強そうな人達…どうして…無傷で、たっ倒せたの…?
──俺さ、空手部なんだ。恥ずかしいけど…自慢になるかもしれないけど…次の部長は俺って決まってるほど…強い…んだ。全国トップレベルって言われてる…
陽向
…す…すごい…んだね…
また俺の首に息が当たった。





……今度は…感心した…のかな?





陽向は最後の質問に移った。
陽向
……最後に……3つ、目……
陽向
…“俺の陽向”って……どういう意味……?
────っ!!!!
…まさかそこを突かれるとはな…
…それは…だな…
陽向
…どんな理由でもいい……それが一番気になって…さ…お、教えて…くれませんか…?
…………!!







目的地に着いた。

俺はゆっくりと陽向をおろした。
そしてまっすぐ見つめた。





────俺の気持ちをまっすぐ伝えるために…
…それは……




ドォンッ…ドォォンッ……



遠くで花火が打ち上がっている。

…まるで、俺の気持ちを後押ししてくれているかのように。










…ドォンッ……ドォンッドォンッ…





























───陽向のことが好きだから

















とその時────



















ドォォンッ…




















────両思いで見たら永遠に結ばれるというジンクスがある、二尺玉の特大花火が打ち上がった…

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