玲於side
" 先生にキスされた "
そう、あなたの口から出た言葉にムカついた。
なんで、先生が。
って。
ムカついて、ムカついた結果。
俺は、あなたにキスをしていた。
そう言うと、あなたは頬を赤らめて明らかな動揺。
俺も…そういう積極的なのは向いてない。
だから、ちょっと恥ずい…
そう言うと、あなたはカバンを持って飛び出して行った。
俺はしばらく動けず、そこに立っていた。
ったく…俺は何してんだよな…
ほんと、最近おかしいんだ。
しばらくして、俺は帰るために廊下に出た。
玄関に向かうと、もう誰もいなかった。
涼太と帰ってんのかな、って考えるとちょっとモヤッとする。
なんで、俺じゃないんだ とか 涼太くんなんだよ って思う。
靴に履き替えて外に出る。
暑っ…
駅まで歩いていると
先輩が一人で歩いていた。
そう微笑む先輩。
やっぱり可愛い…
自然と先輩は俺の横に来て二人で並ぶ。
先輩といるとドキドキする。
わぁ、恋しちゃってんなぁってすぐ分かる。
けど、日常で考えることは先輩だけじゃない。
あなただったらどうするだろ って思う。
そうだ、大切な幼馴染。
大切すぎて考えてしまう。
大切を越えた大切なんだ。
そういう先輩の言うこと、何故か俺の心に響く。
本当に好きにならないか?って言われたらどうだらうか。
また、先輩の余裕ってもん…?
そんな余裕さは俺にとって苦痛。
今なんて…?
そう少し下を向いて話す先輩。
嬉しい。
…どうすればいいんだよ。
あなた。
助けてくれよな…
こういうマジなの初めてだから。
.
帰宅し、部屋に戻る。
ドアを開けると
あなたが俺のベッドに座って雑誌を読んでる。
次は俺のベッドに寝転がってみてる。
おいおい、スカートのまま寝転がるなよ!
配慮というものを知らねぇのか、こいつ。
俺は最近、ちょっと苦手になった人の名前を聞い疑問を抱いた。
優しいでしょ!
って言うけど、俺はそんなの優しさに捕えれない。
俺への見せつけだろ?
ムカつく…
上目遣いで俺を見上げるあなたに焦りを覚える。
うわぁぁ、もう…
と、ノコノコと部屋に戻っていくあなたの後ろ姿に
俺は、伝えなきゃいけない。
と言うと出来てないスキップは止まって後ろ姿でも
悲しい
という思いが伝わってくる。
こっちを向いてそう言った顔は眩しい夕日に照らし合わせて
俺の心を締め付ける。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。