目を開けると見慣れた天上。
昨日…怒られて…玲於と一緒にいて…
" 好き "
と、言った。
そっから…寝てしまって…
それからの記憶はない。
何か言われた記憶が…
ベッドでボケっとしていたら
ドンドンドンドンドン とベランダから音がする。
びっくりして、急いで開けに行くとやはり玲於。
やば…
そんなことしてた、?
最悪…
ひょいっと私のベランダを越えて行ってしまった。
あ ~ 、玲於と登校できないんだ。
悲しい…
え?
今、涼太くんの声…?
ちらっと下を見たら
玄関の前で手を振る涼太くんがいた。
私、まだパジャマだし!!
あ!早く来るって言ってた!
忘れてた ~!!!!
急いで準備に取り掛かる。
今まで玲於のために可愛くなろうと頑張ってきた
朝の準備時間もそんなに凝らなくていいんだ…
そう考えるとちょっと寂しい。
髪をとかしてご飯を口に頬張って涼太くんの元へ。
そう、目を合わせ、挨拶をしてもらった経験が少ない私には
ちょっとハードルが高かった。
玲於に慣れすぎた…?
私の髪の毛を指さす。
多分、走った時に跳ねたんだ。
なら行こ。って言う。
え?
可愛い?
涼太くん?
それから会話も弾み止まることの無い会話。
涼太くんが彼氏だったら─────なんて考えるけど
やはり、頭に浮かぶのは玲於。
私には無縁の言葉だと思っていた 別荘 。
普通じゃね?的な顔で私を見る涼太くん。
お主、金持ちだな…
何年ぶりだろう。
海とか!!!!
とても楽しみで仕方がない。
そういうと涼太くんは最近、顔を赤く染めることが多くなった。
そして、学校に着くと
教室には胡音の姿がある。
お互いに抱き合ってトントンと背中を叩く。
急な苗字呼びで涼太くんはびっくりしてる。
あ ~ あ!
涼太くん苦笑いじゃんか!!
と、私達の席に追いやられる。
余計なこと言わなくていいのに!
ほら ~ !
食い気味になる胡音。
うん、だろうね。
胡音ならそんな反応しかねないと思ってた。
そこから席に着く。
私はいつも通り、カバンから教科書を出して机にしまう。
すると、涼太くんが
と後ろのドアを勢いよく見る。
涼太くんは優しいのにたまにこうやってSっぽい性格になる。
ま、そこもモテるポイントなのかもしれない。
じゃね、と友達と移動教室に行った。
上手く聞き取れなかった私はモヤモヤしてる。
胡音に手を取られ歩く廊下。
今までは私の頭は玲於だらけでどんなけ整理しても
玲於だけは片付けることなんて出来なかった。
なのに…今は脳内に 涼太くん が住み着いてきた。
優しくしてくれて、話してても面白いし…
こんな辛い思いするなら…って思った。
涼太くんが私のこと好きなんてある訳ないけど…
彼女になれたら苦は無いんだろうなって感じる。
やっぱり、胡音の大袈裟すぎる反応は嬉しい。好き。
移動教室の理科に着いた時。
私は理科室の窓から丁度外が見えている位置。
ボールを追いかけている私の好きな人。
友達と笑いあってボールを転がす。
昔は運動苦手だったくせに…
かっこよくなりやがって!
私だけの玲於なのにっ。
ついに、男子にまで妬くようになった。
この気持ちは誰にも止められない。
そう感じた。
呼び出しくらっちゃったじゃん。
もうっ。
玲於のせいだから。
そうチラッと外を見て玲於に舌を出した。
.
ツンと香る薬品の匂い。
嫌な匂いだ…
金岡先生。
学校では有名なイケメン教師として評判は高い。
私にとっちゃどこが?って話なんだけど。
と、先生は私に近寄ってキスをした。
私はあまりの驚きに先生を突き飛ばす。
最低…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。