1時間だけ授業を休んだ。
失礼しました とお礼を言って保健室を出た時。
目の前には背が高く顔の小さい人。
顔整ってるなぁ。
けど、こんな人いたっけ…
イケメンの手に朝玲於から貰った接骨院の紙。
いつの間に落ちた!?
あ、ぶつかった時かな。
手渡しで接骨院の紙を貰う。
なんか、恥ずかしいなぁ…
接骨院なんておばあちゃんみたいじゃん。
ふふっと微笑むイケメン。
おぉ…イケメン…
接骨院の紙をヒラっと見せ、そのイケメンを後にした。
接骨院…どうしようかな。
行ってこうかなぁ。
めんどくさいなぁ。
玲於に着いてきてもらおうかなぁ。
ドスッ。
私の言葉を遮るかのように挟んだ話。
あいつって…あのイケメン?
私のおでこをピンッとする。
も ~ 、玲於のデコピン痛いんだから!!
じゃ、と戻って行った。
.
教室に戻る前、ちゃんと3組をちらっと。
いつもの玲於の席に玲於は居て
声の大きい女子が玲於に話しかけている。
…
カラオケ行くの…?
玲於の声は聞こえない。
表情一つ変えない玲於の表情からは何を言ったのか
想像もつかない。
行かないで…
そんなことを願いながら教室に戻る。
心配してくれた胡音。
ありがとう
と、一言伝えた。
あんた達付き合ってないでしょ!
って、頭チョップされた。
まあ、そうなんだけどさ!
思ってるだけでもいけないの…?
あ ~ 、だめだ、
玲於が私以外の女子と遊ぶとか考えただけで泣きそう。
やだやだやだやだやだやだ。
遊んで欲しくない。
こんな独占欲強い女は嫌いなのかもしれないけど
私は、本気で好きだし本気で嫌だから。
うぅ…
泣くなっ…
胡音は私の側から離れてどこかへ行った。
机に顔を伏せて外を見る。
玲於の言った通り横嬲りの雨。
私の気持ちをそのまま表したみたい。
まるで玲於が私の気持ちを予知したみたい。
…?
私の聴覚センサーが反応。
後ろのドアに玲於が私を呼んでるではないか!
飛んでいくかのように玲於に近寄る。
玲於は照れ隠しで後頭部をかきながら話す。
目線を逸らして。
遠くの胡音に伝えると舌をペロッと出して手を振る。
もうっ。
泣いてる姿とか1番見られたくないんですけど。
最悪。
目もきっと赤いし。
一体私は誰の口から
" 頼れば? "
を聞いてるの?
じゃあな、って頭を掻き回された。
え…?
私、そろそろ心臓崩壊するよ?
" 誰よりも近い仲だろ "
ほんとに、嬉しかった。
玲於もそう思ってくれてることだけがいいのに。
口に出してくれた事にさらなる喜び。
やばい、今日命日。
耳が幸せだったなぁ♥
もう、玲於大好き。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。