玲於side
あなたから8月2日と知らされた。
夏休み…か。
もうそんな時期なのかと思う。
最近、あなた達のクラスが羨ましいと思うようになった。
俺以外一緒だし?
俺だけハブられてるみたいじゃん。
割とキツイよね。
あれから仲良くなった龍友くん。
宮下ってあなたしか居ないし…
なに、みんな可愛いと思ってんの。
あなたのこと狙ってんの。
王子…?
涼太の事か。
へぇ…
涼太とあなたがお似合い…ね?
どこがだよ。
いやいや、あの王子とお子ちゃまが釣り合うわけがない。
あいつには…そんなの居なくていい。
何目線なのかそう思った。
なんだこれ、ムカつくわ。
可愛いとか見た目で判断しないで貰えるかな。
あいつ、馬鹿だから勘違いするだろ?
それを守るのが俺だからそう言うのには厳しいよ?
俺がいないと駄目なんだから。
なんてこんな時にまで保護者目線するのはずるいか。
.
教室にぴょこっと出てきた先輩。
最近、先輩に対しての敬語が取れてきたかなっておもう。
俺の支度をして玄関に向かうと
あなた、吉野、その後ろに涼太がいるのに気づいた。
仲良さそうに話す三人。
特にあいつ。
宮下あなた。
なにヘラヘラしてんの、マジムカつく。
しかも、涼太に対してとか増してウザイ。
笑うなよ、あんな顔で。
お前の顔は人を寄せつけんだよ、襲われんぞ。
ほら、後ろから先輩達見てる!
数人の男子先輩がチラチラ見てるし!
俺は急いであなたを助けに行こうとしたら
パッと手を取られ、現実に戻る。
そうだな…
最低なことしてた…
心にモヤモヤとした霧がかかったように心に残る。
あ ~ 、心配で仕方ない。
襲われてねぇかなって。
ナンパされてんじゃねぇかな。
嫌!って言えてんの?
そして先輩ときた場所。
普段通る駅前のカフェ。
ここは若者に大人気のカフェ。
ここに来る度気の遠くなるほど待たされる。
カフェオレ。
なんでだ?
好きでもないもの頼んでどうするの?
ちょっと自分にびっくりする。
1年の時、あなたがコーヒー頼んで俺も同じの頼んだ。
そしたらやっぱあいつお子ちゃまだから
コーヒーも飲めないわけで…
あなたの好きな飲み物は カフェオレ。
だからいつでも飲めるように俺がいつも頼んでいた。
癖になってたんだ。
いつまでもあなたの為とかはダメだし…
自分のため?か。
30分以上待たされたカフェに入り、誘導された席へ座る。
先輩、頭いいから受験なんか簡単に受かっちゃうでしょ。
なんだそれ、子供に夢押し付けて何がいいんだか…
後継は大変だと思うけど…それはイラッとくる。
先輩にもこんな辛い出来事あるんだな
つい、ただただ幸せな生活で育ち誰よりも
愛情を注がれて生きてきたのかと思ってた。
なんだかんだ俺ら結構大人な話した。
そして、ここのカフェ有名なパンケーキを食べた。
先輩はやっぱり女子で
届いた瞬間、携帯を手に持って構えて写真を撮る。
あなただったらそんなことしないで
パクパク食ってんだろうなって想像つく。
つい、その姿を考えてみると面白くて笑ってしまうを
もう5時前。
なかなかお腹に満たされた。
お金を払って外に出る。
そういう先輩の顔はどこが物足りなさ気な顔。
…そういう顔されると困んだよね。
助けたくなるって言うか…
ほっとけないって言うか。
そういう性格なのかも。
そう言うと先輩の目はちょっとずつ滲んで赤くなる。
ありがとう
そう俺に言ってその時、
先輩の顔が俺に近づいて
唇が重なった。
その時、一瞬、あなたの顔がチラついたのはどうして。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。