第30話

先輩の事情
2,280
2019/03/28 13:40
玲於side
あなたから8月2日と知らされた。


夏休み…か。


もうそんな時期なのかと思う。
最近、あなた達のクラスが羨ましいと思うようになった。


俺以外一緒だし?


俺だけハブられてるみたいじゃん。
割とキツイよね。
龍友
な ~ な ~ 、玲於。
玲於
ん?
あれから仲良くなった龍友くん。
龍友
宮下って子知っとる?
玲於
宮下?
龍友
そう、あの2組の子やねんけど…!
宮下ってあなたしか居ないし…
玲於
なに、あなたがなんかあったん?
龍友
可愛ええなぁってみんな言っててん。
玲於
まじ?
なに、みんな可愛いと思ってんの。


あなたのこと狙ってんの。
龍友
ま、眺めとくのが一番やと思うけどな。
玲於
…アプローチしないの?
龍友
するも何もあの王子がおったら無理やろ!
王子…?


涼太の事か。
玲於
涼太?
龍友
いやなぁ?王子があなたの周りに定着してるやろ?
やから、お似合いやってみんな言い出して
誰もあなたちゃんに構う子おらへんのや。
へぇ…


涼太とあなたがお似合い…ね?


どこがだよ。


いやいや、あの王子とお子ちゃまが釣り合うわけがない。
あいつには…そんなの居なくていい。


何目線なのかそう思った。
龍友
ま、ええねんけど。
玲於
うん…
なんだこれ、ムカつくわ。


可愛いとか見た目で判断しないで貰えるかな。


あいつ、馬鹿だから勘違いするだろ?


それを守るのが俺だからそう言うのには厳しいよ?


俺がいないと駄目なんだから。


なんてこんな時にまで保護者目線するのはずるいか。
.
佐々木先輩
玲 ~ 於くんっ。
教室にぴょこっと出てきた先輩。
玲於
先輩、どうした?
佐々木先輩
一緒に帰ろっかなぁなんて!
玲於
分かった、ちょっと待ってて。
最近、先輩に対しての敬語が取れてきたかなっておもう。
俺の支度をして玄関に向かうと


あなた、吉野、その後ろに涼太がいるのに気づいた。
仲良さそうに話す三人。


特にあいつ。


宮下あなた。


なにヘラヘラしてんの、マジムカつく。


しかも、涼太に対してとか増してウザイ。


笑うなよ、あんな顔で。


お前の顔は人を寄せつけんだよ、襲われんぞ。


ほら、後ろから先輩達見てる!


数人の男子先輩がチラチラ見てるし!
俺は急いであなたを助けに行こうとしたら


パッと手を取られ、現実に戻る。
佐々木先輩
玲於くん、、どうしたの?
玲於
あ、、いや…ごめん。
佐々木先輩
うん、あのさ、私と居る時は私のことだけ考えて。
そうだな…


最低なことしてた…
玲於
分かった。ごめん。
佐々木先輩
うんっ。
心にモヤモヤとした霧がかかったように心に残る。


あ ~ 、心配で仕方ない。


襲われてねぇかなって。


ナンパされてんじゃねぇかな。


嫌!って言えてんの?
そして先輩ときた場所。


普段通る駅前のカフェ。


ここは若者に大人気のカフェ。


ここに来る度気の遠くなるほど待たされる。
佐々木先輩
玲於くん何にする?
玲於
俺、これ。
カフェオレ。
佐々木先輩
ふ ~ ん 、甘いの好きなの?
玲於
ん ~ 、別に好きではない。
佐々木先輩
ならなんで頼むの?
なんでだ?


好きでもないもの頼んでどうするの?


ちょっと自分にびっくりする。
1年の時、あなたがコーヒー頼んで俺も同じの頼んだ。


そしたらやっぱあいつお子ちゃまだから


コーヒーも飲めないわけで…
あなたの好きな飲み物は カフェオレ。


だからいつでも飲めるように俺がいつも頼んでいた。


癖になってたんだ。
佐々木先輩
カフェオレでいいの?
玲於
いや…コーヒー。
いつまでもあなたの為とかはダメだし…


自分のため?か。
30分以上待たされたカフェに入り、誘導された席へ座る。
佐々木先輩
はぁ ~ 、疲れた。
玲於
勉強大変?
佐々木先輩
ん ~ ?まあ、そうだね。
先輩、頭いいから受験なんか簡単に受かっちゃうでしょ。
佐々木先輩
でも私の行きたい大学じゃないから
勉強する気にならないんだよね。
玲於
え?
佐々木先輩
全部お父さんの指示なの。
玲於
お父さん?
佐々木先輩
お前は、立派な医者になって私の後継をするんだ。
そう言われてて有名な大学に入らされる。
なんだそれ、子供に夢押し付けて何がいいんだか…


後継は大変だと思うけど…それはイラッとくる。
玲於
お兄さんとか居ないの?
佐々木先輩
お兄ちゃん3年前に亡くなったの。
玲於
え…
佐々木先輩
交通事故で私を庇って亡くなった。
玲於
ごめん、変な事聞いた。
佐々木先輩
ううん!いいの。
玲於くんにはいずれ話そうと思ってたから。
先輩にもこんな辛い出来事あるんだな


つい、ただただ幸せな生活で育ち誰よりも


愛情を注がれて生きてきたのかと思ってた。
玲於
俺は将来ダンサーになる。
佐々木先輩
玲於くんダンス好きだもんね。
玲於
うん。
なんだかんだ俺ら結構大人な話した。


そして、ここのカフェ有名なパンケーキを食べた。


先輩はやっぱり女子で


届いた瞬間、携帯を手に持って構えて写真を撮る。


あなただったらそんなことしないで


パクパク食ってんだろうなって想像つく。


つい、その姿を考えてみると面白くて笑ってしまうを
もう5時前。
佐々木先輩
よし、玲於くん帰ろっか。
玲於
了解 ~ 。
なかなかお腹に満たされた。
お金を払って外に出る。
佐々木先輩
玲於くん今日はありがとう。
玲於
何が?
佐々木先輩
いろいろ話聞いてくれて。
ちょっとすっきり。
そういう先輩の顔はどこが物足りなさ気な顔。


…そういう顔されると困んだよね。


助けたくなるって言うか…


ほっとけないって言うか。


そういう性格なのかも。
玲於
もっと嫌なこと俺に話せば?
佐々木先輩
え?
玲於
…まだ話し足りないことありそうな顔してる。
そう言うと先輩の目はちょっとずつ滲んで赤くなる。


ありがとう


そう俺に言ってその時、
先輩の顔が俺に近づいて


唇が重なった。
その時、一瞬、あなたの顔がチラついたのはどうして。

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