第3話

私だけ
2,683
2019/02/24 01:09
今の時間は数学。


明日単元テストだからその復習の時間。


て言ってもなかなか頭に入らないのが現状。


なんていったって、1番不得意な教科だから。
あなた

わからんぞ…

一人で頭を抱えていると
胡音
なに、どうした。
数学のスペシャリストが私に教えてくれる。
あなた

わかりません、教えてくださいっっ!

胡音
だと、思いまして、はいどうぞ。
渡されたノート。


表紙には " 数学ノート " ?


普通のノートがと思い、開くと
あなた

…殺す気?

胡音
ん?
それは玲於の字。
あなた

なんで!?!?

胡音
同クラの子に頼んでこっそり取ってきてもらった
やるでしょ?ってドヤ顔炸裂だけど…


さすが、胡音。
あなた

ありがとう!
ほんといい友!

胡音に抱き着くと はいはい って流された。
けど、私達相当な犯罪じゃん。笑
ま、後で返すから待っててね♥


この数学の時間はいつもの5倍集中して取り組んだ。
.
胡音
じゃ、あなた、またね?
あなた

またね!

胡音は年上の彼氏がいて現役大学生だとか。


凄いなあって、尊敬するけど


やはり、私には玲於しかいない。


玲於以外考えられない!
そして、いつもの様に3組までお迎えに行く。


玲於の姿を発見するのは誰よりも早い自信がある。


けど…


女の子に囲まれてるの…


うぅ…


辛い…



玲於は興味などなくフル無視。


有難い!!!
あなた

玲於 ~ !

そう呼べばチラッとだけど私を見てくれる。


とてつもなく嬉しい。


私だけは無視してくれない。


特別感感じるよね。


玄関まで一緒に行くが玲於はずっと携帯。


携帯にそんな夢中になることあるの?


外に出て下校途中、玲於が携帯を切った。
玲於
返せ。
あなた

え?

玲於
数学のノート。
あなた

げ…

玲於
げ…じゃねぇ。
バレてたか…
あなた

はい、すみませんでしたっ。

玲於
ったく、吉野だろ。
あなた

こ、胡音は悪くない…よ。

私が玲於のこと好きすぎるのがいけないんだ。
けど、そのいけないが私を止められなくする。
玲於
んで、分かったの?
あなた

何が?

玲於
数学、理解出来たのかよ。
あなた

ん ~ 、まぁ一応。

玲於
ふ ~ ん。
なに?


心配してくれた!?


心臓はバクバクして止まらない。
玲於
あ、心配じゃなくて俺のノートだから
当たり前のことかなって確認しただけだから。
勘違いはよして、だって。


期待して損した。
また、不揃いな足音が私達の空気に入り込む。
電車に乗り込むと今日はいつも以上に空いている。
あなた

今日、ガラガラ。

玲於
んな。
席も十分なほど確保出来て座る。
玲於が腰掛けた席の隣に腰を下ろすと玲於はちょっと右に寄る。
ん?


あれ?


そういう仕組み?


隣に座ると横に行っちゃう仕組み?
もう一度。


玲於の隣に座る。


あ、やはり行っちゃう。
あなた

ねぇ、隣開けないでよ。

玲於
ガラガラなんだから。
そういうとイヤホンを付けて自分の世界に入ってしまった。
も ~ 。
玲於を端まで追い詰めて隣を確保できた。
幸せだなぁ。


玲於の肩が大きく私が詰めると窮屈そうな顔をする。


うん、可愛い。
その後、電車に揺られ続けること15分した頃。


" 胡音 : ソルトとは今どう? "


あ、ソルトって言うのは玲於のことで


塩だからソルトらしい。


" 電車の隣ゲッツ! "


"  胡音 : かなりの至近距離ね  "


" かなりよ "


横を見るとコテっと頭を柱に預けて眠ってる玲於。


その寝顔に生きてる中でドキドキさせられっぱなし。
可愛くて…かっこよくて仕方がない。


" お出口は右です… "


あ、着いた。


玲於を、起こす。
あなた

玲於、着いた!

玲於
…ん。
眠そうな目。


子供みたいに目を擦って欠伸をする。


ほんとに高校生ですか?
ホームを出て駅を出た。
あなた

暑い ~ 。

玲於
暑いって言うから暑い。
あなた

暑いから仕方ないじゃん?

玲於
我慢っていうものをしろよ。
あなた

出来ません!

玲於
だから、そういう人間になるんだ。
私のおでこをピンとはねる。
あなた

痛った…!

玲於
よっわ。
あなた

脳内小学生か!
ま、そんな玲於も好きだけど…

ボソッと呟くと
玲於
うるせ。
アイス買ってくか?
あなた

うん!

玲於
ま、お前の奢りな。
行くぞ ~ 、ってコンビニに向かう。


もうっ、玲於のためなら奢りでもなんでもするっ。
玲於
何かよからぬ事を考えてる顔だ。
あなた

玲於のためならなんでもするよって。

玲於
きっも。
でた。毒舌。


こんなに貶されてるのに嫌いになんかなれない。
ひんやりと冷えるコンビニに着くと


何にする?って1番に聞いてくれるんだよ。


もう、好きが増す一方。
あなた

私、ガツンとみかん。

玲於
ふ ~ ん、俺も。
同じものを手にしてレジに向かう。


" 同じもの "


で、舞い上がる私の方が脳内小学生なのかもしれない。
お金を出そうとしたらもう会計は済んでて
玲於
置いてくぞ。
あなた

…待ってよ!

優しいんだよ、玲於は。


表には出さない優しさ。


長年一緒に居るから分かることでそれにまた


ニヤニヤさせられる。
玲於
ニヤニヤすんな、キモイ。
あなた

玲於のこと考えてた♥

玲於
余計にキモイ。
あなた

うるさい

アイスの袋を取って口に頬張る私達。


ん ~ !うまい!


夏の暑さがこのみかんアイスで和らげてくれる。
傍から見た私達はどう見えてるのかな。


1部の青春漫画?


それだったら嬉しいな。
玲於
今日、お前ん家ご飯なに?
あなた

ん ~ 、ママが言ってたのは唐揚げ。

玲於
ほほぅ、分かった。
あなた

食べに来るの?

玲於
迷い中。
この会話、私としか出来ないよね?

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