今の時間は数学。
明日単元テストだからその復習の時間。
て言ってもなかなか頭に入らないのが現状。
なんていったって、1番不得意な教科だから。
一人で頭を抱えていると
数学のスペシャリストが私に教えてくれる。
渡されたノート。
表紙には " 数学ノート " ?
普通のノートがと思い、開くと
それは玲於の字。
やるでしょ?ってドヤ顔炸裂だけど…
さすが、胡音。
胡音に抱き着くと はいはい って流された。
けど、私達相当な犯罪じゃん。笑
ま、後で返すから待っててね♥
この数学の時間はいつもの5倍集中して取り組んだ。
.
胡音は年上の彼氏がいて現役大学生だとか。
凄いなあって、尊敬するけど
やはり、私には玲於しかいない。
玲於以外考えられない!
そして、いつもの様に3組までお迎えに行く。
玲於の姿を発見するのは誰よりも早い自信がある。
けど…
女の子に囲まれてるの…
うぅ…
辛い…
玲於は興味などなくフル無視。
有難い!!!
そう呼べばチラッとだけど私を見てくれる。
とてつもなく嬉しい。
私だけは無視してくれない。
特別感感じるよね。
玄関まで一緒に行くが玲於はずっと携帯。
携帯にそんな夢中になることあるの?
外に出て下校途中、玲於が携帯を切った。
バレてたか…
私が玲於のこと好きすぎるのがいけないんだ。
けど、そのいけないが私を止められなくする。
なに?
心配してくれた!?
心臓はバクバクして止まらない。
勘違いはよして、だって。
期待して損した。
また、不揃いな足音が私達の空気に入り込む。
電車に乗り込むと今日はいつも以上に空いている。
席も十分なほど確保出来て座る。
玲於が腰掛けた席の隣に腰を下ろすと玲於はちょっと右に寄る。
ん?
あれ?
そういう仕組み?
隣に座ると横に行っちゃう仕組み?
もう一度。
玲於の隣に座る。
あ、やはり行っちゃう。
そういうとイヤホンを付けて自分の世界に入ってしまった。
も ~ 。
玲於を端まで追い詰めて隣を確保できた。
幸せだなぁ。
玲於の肩が大きく私が詰めると窮屈そうな顔をする。
うん、可愛い。
その後、電車に揺られ続けること15分した頃。
" 胡音 : ソルトとは今どう? "
あ、ソルトって言うのは玲於のことで
塩だからソルトらしい。
" 電車の隣ゲッツ! "
" 胡音 : かなりの至近距離ね "
" かなりよ "
横を見るとコテっと頭を柱に預けて眠ってる玲於。
その寝顔に生きてる中でドキドキさせられっぱなし。
可愛くて…かっこよくて仕方がない。
" お出口は右です… "
あ、着いた。
玲於を、起こす。
眠そうな目。
子供みたいに目を擦って欠伸をする。
ほんとに高校生ですか?
ホームを出て駅を出た。
私のおでこをピンとはねる。
ボソッと呟くと
行くぞ ~ 、ってコンビニに向かう。
もうっ、玲於のためなら奢りでもなんでもするっ。
でた。毒舌。
こんなに貶されてるのに嫌いになんかなれない。
ひんやりと冷えるコンビニに着くと
何にする?って1番に聞いてくれるんだよ。
もう、好きが増す一方。
同じものを手にしてレジに向かう。
" 同じもの "
で、舞い上がる私の方が脳内小学生なのかもしれない。
お金を出そうとしたらもう会計は済んでて
優しいんだよ、玲於は。
表には出さない優しさ。
長年一緒に居るから分かることでそれにまた
ニヤニヤさせられる。
アイスの袋を取って口に頬張る私達。
ん ~ !うまい!
夏の暑さがこのみかんアイスで和らげてくれる。
傍から見た私達はどう見えてるのかな。
1部の青春漫画?
それだったら嬉しいな。
この会話、私としか出来ないよね?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。