第14話

みかんゼリー
2,264
2019/03/03 02:09
今絶賛、熱出してます。


39.6だって…


辛すぎでしょ。
なんで急に熱なんか…


最悪…


一緒に登下校出来ないし、玲於とも会えない。


こんな最悪な日々があるなら熱なんかいらない!!
ベッドの上で目を細めてヒヤッとするおでこに手を当てた。
あなた

…会いたいよ、玲於。

ぼそっと呟く。


そんな私の願いなど叶うわけがない。


今、5時半。


玲於帰ってきてるかな。
玲於のことが気になって仕方がない。
あ、玲於…先輩とどうなった?


上手くいってるとか聞きたくないよ…?


私は幼馴染としてでもあり私の大好きな人でもあるから


絶対取られたくないの。


玲於の横は私なの。


今までずっとそうだったから。
いつの間に目から横に涙が下に零れた。
あなた

やだ…

ずっと私が横にいたから分かってるけど、


今は玲於一人。


誰が寄ってくるかわかんないのに…


安静にしてなんかおれない。
すると、カーテンのかかっているベランダから


音が聞こえた。
あなた

えっ…

泥棒…?


だれ?
私は恐る恐る重たい頭を持ち上げてベランダに向かう。
カーテンをちょっとだけ開けると
コンビニの袋を持った玲於が立っていた。
あなた

玲於!?

あまりにもビックリして大きな声を出してしまった。


おかげで頭に直通。
「  開けて  」
口パクで私に指示をする。


カッコイイ…
素早く鍵を開ける。
玲於
疲れたぁ。
ドカドカと部屋に入ってきてマスクをつける。
あなた

風邪うつるよ…?

玲於
別に、馬鹿じゃないから熱でない。
そっかぁ…


玲於は頭いいんだった。
あなた

もう、玲於に会えないから死ぬかと思った。

ベッドに腰をかけた。
熱の辛さなんか玲於が来たから吹っ飛ぶ。
玲於
はいはい、
すぐ、そうやって流す…


何やら、コンビニの袋からゼリーを取り出して蓋を開けた。
あなた

学校どうだった?

玲於
ん?まぁ、普通。
あなた

私がいなかったからつまらな…

玲於
すっげぇ、楽しかった。
あなた

…もう。

"  すっげぇ、楽しかった  "


その言葉は本当のように聞こえるのは私だけ…?
玲於
はい、みかん。
あなた

え!私の!?

玲於
ん。
スプーンにみかんゼリーを乗っけて私に差し出す。
受け取ろうとすると
玲於
口開けろ。
あなた

へ!

玲於
へ!じゃねぇ。
病人は黙って看病されてろ。
私、死ぬよ?


熱の時まで玲於と一緒に居れて、しかも!


看病までしてくれるとか私いつ死んでもいいかも。


念願の あ ~ ん だよ!!!!
さっきの言葉前言撤回。


熱様、ありがとうございます。
大人しく口を開けるとみかんが入ってきて味が広がる。
玲於
ど?
あなた

うん、すごく美味しい!

玲於に貰ったみかんゼリーとか格別に美味しい。
玲於
んでさ、
あなた

ん?

玲於
あなたがいないこの一日大変だった。
あなた

やはり、私が居ないとだ…

玲於
先輩と登校して下校した。
あなた

え…?

私は自分の耳を疑う。


私がいない間にそんな展開まで繰り広げてたの!?
玲於
天使みたいでさ!
あなた

そ、そうなんだ!

玲於、私もっとだるくなってきた…


そんな話聞きたくない。
私の気持ち知ってる?


好きなんだよ。玲於が。


けど、玲於は友達の 好き としか思ってない。
鈍感すぎて困る。
玲於
玲於くん って呼んでくれてて…
嬉しそうに話す玲於の顔は今までに見た事のない


ニヤつき顔。


めっちゃムカつく。


先輩に…すごい嫉妬心を覚えた。
あなた

私も、玲於くんって呼ぶ…

玲於
あなたは玲於でいい。
あなた

なんで…

玲於
…じゃねぇとしっくりこないし。
なんか特別のように言われてる?


だとしても、私は全然嬉しくない。


だって、玲於くんって呼ぶのは先輩限定で喜んでるんだから


私が特別ではない。
あなた

…楽しかったの?

私、今すごい我慢してると思う。


自爆。


こんなこと聞いて私が落ち込むだけなのにね。
玲於
…うん。
あなた

そっか…

ほらね。


さっきよりだんだん気持ちが沈む。
玲於
早く治せよなぁ。
あなた

え?

玲於
先輩と二人っきりとか緊張しすぎて無理。
あなた

何それ。

玲於
お前いないとなんか無理。
嬉しいのか嬉しくないのかわかんない。


喜んでいいの…?
玲於
なに、喜ばねぇの。
あなた

それはさっ…

玲於
ん?
あなた

私は先輩と緊張しないための道具としてでしょ…?

玲於
は?
あなた

玲於の言ってることから私はそう聞こえる。

何言ってるの…私。
玲於
なわけな…
あなた

玲於が私を必要としてくれてるのは嬉しいよ。
けど、その理由が私は嫌。

玲於
どうした…?
あなた

ごめん、熱で頭おかしくなっちゃった!
今日はごめんね、ありがとう。

涙が零れないように布団をぎゅっと掴み下を向く。
玲於
…大事にしろよ。
無言で私の部屋を去っていった玲於。





最悪…


やっぱり今日は幸せな日じゃない。


玲於が来てくれて嬉しかったのに…


自分で幸せを壊しちゃった…
あなた

うっ…

目から涙が止まらない。

プリ小説オーディオドラマ