今絶賛、熱出してます。
39.6だって…
辛すぎでしょ。
なんで急に熱なんか…
最悪…
一緒に登下校出来ないし、玲於とも会えない。
こんな最悪な日々があるなら熱なんかいらない!!
ベッドの上で目を細めてヒヤッとするおでこに手を当てた。
ぼそっと呟く。
そんな私の願いなど叶うわけがない。
今、5時半。
玲於帰ってきてるかな。
玲於のことが気になって仕方がない。
あ、玲於…先輩とどうなった?
上手くいってるとか聞きたくないよ…?
私は幼馴染としてでもあり私の大好きな人でもあるから
絶対取られたくないの。
玲於の横は私なの。
今までずっとそうだったから。
いつの間に目から横に涙が下に零れた。
ずっと私が横にいたから分かってるけど、
今は玲於一人。
誰が寄ってくるかわかんないのに…
安静にしてなんかおれない。
すると、カーテンのかかっているベランダから
音が聞こえた。
泥棒…?
だれ?
私は恐る恐る重たい頭を持ち上げてベランダに向かう。
カーテンをちょっとだけ開けると
コンビニの袋を持った玲於が立っていた。
あまりにもビックリして大きな声を出してしまった。
おかげで頭に直通。
「 開けて 」
口パクで私に指示をする。
カッコイイ…
素早く鍵を開ける。
ドカドカと部屋に入ってきてマスクをつける。
そっかぁ…
玲於は頭いいんだった。
ベッドに腰をかけた。
熱の辛さなんか玲於が来たから吹っ飛ぶ。
すぐ、そうやって流す…
何やら、コンビニの袋からゼリーを取り出して蓋を開けた。
" すっげぇ、楽しかった "
その言葉は本当のように聞こえるのは私だけ…?
スプーンにみかんゼリーを乗っけて私に差し出す。
受け取ろうとすると
私、死ぬよ?
熱の時まで玲於と一緒に居れて、しかも!
看病までしてくれるとか私いつ死んでもいいかも。
念願の あ ~ ん だよ!!!!
さっきの言葉前言撤回。
熱様、ありがとうございます。
大人しく口を開けるとみかんが入ってきて味が広がる。
玲於に貰ったみかんゼリーとか格別に美味しい。
私は自分の耳を疑う。
私がいない間にそんな展開まで繰り広げてたの!?
玲於、私もっとだるくなってきた…
そんな話聞きたくない。
私の気持ち知ってる?
好きなんだよ。玲於が。
けど、玲於は友達の 好き としか思ってない。
鈍感すぎて困る。
嬉しそうに話す玲於の顔は今までに見た事のない
ニヤつき顔。
めっちゃムカつく。
先輩に…すごい嫉妬心を覚えた。
なんか特別のように言われてる?
だとしても、私は全然嬉しくない。
だって、玲於くんって呼ぶのは先輩限定で喜んでるんだから
私が特別ではない。
私、今すごい我慢してると思う。
自爆。
こんなこと聞いて私が落ち込むだけなのにね。
ほらね。
さっきよりだんだん気持ちが沈む。
嬉しいのか嬉しくないのかわかんない。
喜んでいいの…?
何言ってるの…私。
涙が零れないように布団をぎゅっと掴み下を向く。
無言で私の部屋を去っていった玲於。
…
最悪…
やっぱり今日は幸せな日じゃない。
玲於が来てくれて嬉しかったのに…
自分で幸せを壊しちゃった…
目から涙が止まらない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!