第12話

チャンス!?
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2019/03/01 14:03
玲於side
俺の大っ嫌いな朝が来てアラームがなる。


この流れは慣れたものの…やはり好きにはならない。
下に行って髪の毛直してご飯食べて出発。
外で待ってるとやっぱり遅い。


何してんだよなぁ。
あなたの家のドアが開いたと思いきや
ママ
あ、玲於くん、ごめんね。
あなた熱だしちゃって。
玲於
熱?
ママ
そうなのよ、だから今日はお休みするね。
待たせてごめんね、!
玲於
わかりました。
なんだ、風邪ひいたの。


大丈夫なのかよ。


あなた風邪ひいたり熱出すと長いから。


心配する。
慣れない一人の登校。


いつもはちっさいのが横にいてウザイほどニタニタしてるのに


今日はそんなやつがいなくて静か。


俺の今が普通なはずなのにあいつがいたら普通を越えるから


余計に寂しく感じる。


ん…?


寂しくなんかないぞ?


ただ話す人がいない、ただそれだけの事。
電車もいつもより余裕を持って乗ることが出来て


電車の席も横にスカスカ。


詰めてくる人がいないってこんな感じなのか。
イヤホンを耳に入れ音楽を聴く。


ダンスのイベントがあるからそれの音源。


音を頭に叩き込む。
そして、ゆっくりと動き出す電車。


いつもよりゆっくりと穏やかに感じる。


音楽もすんなり入ってこないし


自分の世界に浸れない。


なんだかむしゃくしゃしておかしい。


" 左のドアが開きます "


俺の座る横のドアが開いた。
ちらっと横目で見るとあの香り。
玲於
…先輩だ。
ふわんと柔軟剤の香り。


何故か鼻に焼き付いてしまって覚えた。
目の前に座って本を読み出す。


そんな先輩の読み姿はとても絵になる。
読んでて不意にニコッと笑う先輩にドキッとする。


不意打ちって良くない。
ああああああ、こんな時にあなたいないし。


何も考えらんない。


あなたならこういう時どうすればいいかぐらい


簡単にわかってそうだから…
音楽の音量を二個上げて目を瞑る。


今見てしまうとだめだ。
佐々木先輩
…くん。
誰かに呼ばれてると気づき前を見ると
玲於
せ、先輩…
佐々木先輩
ふふっ、玲於くんだよね?
玲於
は、、はいっ…
隣いい?と天使のような笑顔で俺に問掛ける。


やばいやばい。


可愛い可愛い


人見知り発動してしまう。


あ ~ !!!!


あなた助けてくれっ…
佐々木先輩
玲於くん、ずっとこの時間だよね。
玲於
…そうです
佐々木先輩
よく見るなって思って。
玲於
お、俺も思ってました。
佐々木先輩
ふふっ、あ、それにインスタありがとね?
玲於
いえいえ、こちらこそ…
佐々木先輩
玲於くんのフォロワー多すぎてびっくりしちゃった。
玲於
いやいや、んな事は…
徐々に弾んでいく会話。


案外楽しいかも。
佐々木先輩
あ、着いた。
なら、またね、玲於くん。
ゆっくりと立ち上がる先輩。


その姿も華やかで凛としている。
玲於
はいっ…
なんて言いながらも一緒に降りたから。
佐々木先輩
学校までどう?
玲於
あ、ぜひ!
佐々木先輩
良かった。
良かった


ってどういうこと?


あ ~ 、経験無さすぎてダメだこりゃ。


何もわからん。
学校までの道を慣れない歩幅で歩く。


それもそれで意外ときつい。
佐々木先輩
いつも一緒にいる子って彼女?
いつも一緒にいる子…


あなたしか居ないな。
玲於
いや、なわけないですよ。
佐々木先輩
あ、ほんと?なんかお似合いで…
玲於
あんなチビバカ無理です。
佐々木先輩
まあまぁ、そんなこと言わないの。
玲於
んでも、あいつ勇気だけは 
誰よりもあると思うんですよね。
そこは俺も尊敬します。
佐々木先輩
そうなの?
あなたの話をするとちょっと顔が曇る先輩。
無事学校に到着して校門で分かれる。
佐々木先輩
あ、玲於くん、これ。
渡されたのは一枚の紙。
玲於
え?
佐々木先輩
私の番号。
玲於
え!?
またね、と天使のような笑顔で去っていった。


モテるわ、あれは。
そう確信した時間だった。
先輩から貰った髪をポケットに入れて玄関に入る。
下駄箱を開けた途端。


ドタドタドタと落ちる手紙。
日常に過ぎないからなんとも思わないけど


手紙って昭和すぎん?
1枚1枚拾う。


今日の手紙の数は6枚。
カバンに無造作に詰め込んだ。
胡音
…ソルトめ…!

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