とりあえず家に帰ったけど何もする気が起きない
咲は私の親友だった。
高校に上がってから少しグレてしまったけど良い子ではあった。
拓とは1、2年の付き合い
同い年であっちから告白してきてくれて付き合った。
少しクールで、でもかわいいところもあって、賢いひとだった。
きっと拓は賢いから私が拓を諦められるようにあんなことを言ったんだと思う。
私の目の先にはカッターナイフ
趣味で切り絵をしているときに使うもの。
自分で自分を奮い立たせて立ち直ろうとする。
でも頭の中はぐるぐるで、まるで渦のよう。
いろいろ考えていたら気分が悪くなってえずいた。
ふいに拓からもらったものが目に入る。
小さなアルバムのようなもの。
恥ずかしそうにはにかんだ顔が目に浮かぶ
気づけば外へ飛び出していた
拓にあいたい
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。