第3話

気付かなかった
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2019/07/27 13:36
僕は急いで、あの人の家に向かった。
双葉 澪
双葉 澪
はぁ、はぁ………
双葉 澪
双葉 澪
あ、あの、お邪魔します……!
佐川
佐川
あ、来たね、約束、守ってくれたんだ。
約束っていうか、命令だけど。
双葉 澪
双葉 澪
ちゃんと来たんだから動画……ばらまかないで、下さい。
息を切らしながら頼むと、佐川さんは笑った。
佐川
佐川
はは、来てくれたんだから、しないよ。
……よかった。

ほっとしたのもつかの間。
佐川
佐川
じゃあ、ヤろっか。
双葉 澪
双葉 澪
え、あ、や……っ!
無理矢理手を引かれて、どこかに連れていかれた。
――――――
――――――――――
双葉 澪
双葉 澪
っ、や、やめてください……!!
お願いだから、やめ……っ
佐川
佐川
うるさいなー、もう。
佐川さんは機嫌が悪くなって、頬を叩いてきた。
双葉 澪
双葉 澪
ーーっ!!
痛い……

たまらなく、痛かった。
佐川
佐川
いいから黙って……
次の瞬間、尋常じゃない痛みが全身を襲った。
双葉 澪
双葉 澪
……っ、あ"あ"ぁ"ぁ"ぁぁ!!!
無理矢理、挿入させられた。
佐川
佐川
慣らしてないから、痛いだろうなぁ………!
双葉 澪
双葉 澪
や、かはっ、嫌だ、さがわさ………!
双葉 澪
双葉 澪
くるし……動か、ないで……!
必死に訴えるけど、聞いてもらえない。

時期に、意識がぼーっとしてきた。
双葉 澪
双葉 澪
は……ぁ、っ………
痛くて、苦しくて。

涙も、出なくなった。
双葉 澪
双葉 澪
(助けて……誰か。)
視界が、真っ黒に染っていった。
―――――――――
早苗 優馬
早苗 優馬
はぁー、授業終わり!やっと帰れる。
俺は、早苗優馬。
鳳 未来斗
鳳 未来斗
帰りのHRの前に保健室行こうぜ、澪、なかなか帰ってこないし。
早苗 優馬
早苗 優馬
そうだな、無事だといいんだけど……
保健室。
保健の先生
保健の先生
双葉君?いえ、今の時間は誰も来なかったわよ?
……え?
早苗 優馬
早苗 優馬
で、でも、友達が……
保健の先生
保健の先生
サボってるんじゃないの?よくあるからね、そういうこと。
違う。

澪は、授業をサボったりなんてしない、すごく真面目でいい子だから。

だったら、どこに……
双葉 澪
双葉 澪
ゆう、ま………?
早苗 優馬
早苗 優馬
澪!
振り向くと、澪は保健室の扉を開けて、外から入ってきた。
早苗 優馬
早苗 優馬
え?どこに行ってたの?
双葉 澪
双葉 澪
……ずっと、と、といれ。
トイレ?
早苗 優馬
早苗 優馬
お腹、痛かったの?
双葉 澪
双葉 澪
……ま、まぁ!そんなとこかな!
……なんだ。
早苗 優馬
早苗 優馬
良かった、サボってたわけじゃないんだね。
双葉 澪
双葉 澪
う、うん!勿論、だよ………
良かった。
俺は、完全に親友を信用していた。
何も無いと、思ってた。

悩みとかも、聞いていなかった。

だから、澪は………
鳳 未来斗
鳳 未来斗
澪ー!良かった!じゃあ、次HRだから急ごうぜー!
双葉 澪
双葉 澪
あ、うん、わか、った……
俺は、気付かなかった。

あの時の、彼の衣服についていた、ある液体のことも。

彼が、無理して笑っていたことも。

何もかも、気付かなかったんだ。

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