前の話
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すばるくんと付き合って1ヶ月。
俺がすばるくんに1年間猛アタックして、やっとOKを貰えたんやけど、何も進展がない。
デートや飲みに誘っても断られるし、正直心が折れそう…。
すばるくん…、仕方なく俺と付き合ってるんやろか?
それで、この前安に電話で相談してみたら
そう言って、今日の19時に安の行きつけのご飯屋さんにすばるくんを呼んでくれたらしい。
約束の10分前にご飯屋さんに着いて、携帯をいじりながら待ってると愛しい人の姿が見えた。
キョロキョロと店内を見渡すすばるくんを呼んで手を振ると、こちらに気づき驚いた顔で俺のところに来た。
すばるくんの言葉を最後に無言の空気が流れる。
あかんあかん、このチャンスを逃したら次いつになるかわからへん。
ちゃんと、すばるくんの気持ち聞こう。
頬を赤らめ、それを隠すかのように俯きながら言う彼が愛おしくてたまらへん。
そうや、俺の愛しい人は気持ちを伝えるのが苦手で不器用な人やったやん。
それが可愛くて好きになったのに、俺ってあかんな。
そう言いながら席を立つと、うるさいと言いながらまだ赤くなってる顔を右手で隠すすばるくん。たまらんな。
そして会計を済まして店を出て、俺の家まで歩く。
すばるくんの気持ちを聞いた俺は、この無言の空気も悪くない気がした。
そう言うと彼の右手を掴み俺の体に引き寄せて、チュッと触れるだけのキスをした。
ビクッとしながらも、受け止めるすばるくん。
彼の耳元で囁いて少し体を離し手を繋いでまた歩き出した。
恥ずかしいのか、俺の反対の方を向いている彼。
そんな彼の笑顔を守り抜きたい。
ずっと俺の隣におってな。
愛してるよ、すばるくん。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。