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第31話

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風鈴の音が聞こえた。


チカチカと光る何かに照らされて、私は眩しくて目を開けた。


カーテンがひらひらと舞って、窓の外に見える青い葉をつけて立っている桜の木を羨ましく見つめる。




「なんだ…全部夢か」



私は白い布団をぎゅっと持ち上げて足の指先まで伸びる。

手元にあった緑色のグラデーションが印象的な、大好きな小説があった。


その小説は色褪せていて、カバーの端がぐしゃぐしゃになっていた。持っていた汗で少し茶色くなっている部分もあったけれど、それは今日まで大切にしてきた証拠。


すっかり伸びてほったらかしにされている髪の毛が顔の横にハラハラと落ちてくる。

いつのまにこんなになっていたんだね、知らなかった。

視界の隅に鍵付きの、ボロボロになった日記が見えた。

全部全部過去のこと…


全てが変わったこの世界でも、まだ息をしている。


私は今日も息をしている。



パラパラと本をめくり、途中挟んである見覚えのない栞を見つけ、不思議に思って引き抜いてみる。


「優…」


そこには優の汚い字で裏と表にこう書かれていた。

『高校合格‼︎』

『大学受験突破、無事進学しました』